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政府のウィッシュリストが欲しい

米国では、ウィッシュリストを公開している人に対して、その中から贈答品を選んで贈る習慣がある。結婚式のお祝儀はこの方式である。受け手が欲しいものが明確なので、その中から選んでおけば間違いない。送り手にとって、何を贈ればよいのか悩まなくて済む。「相手の求めるものを慮るのが愛情だ」という考え方もあるが、常に当たる保証はないし、結婚式に参列する程度の間柄で相手の求めるものを当てるなんてどだい無理である。ウィッシュリストがあってもその中にある品目を買うのが煩雑ならばあまり便利でないが、アマゾンのような通販サイトなら通常の買物と同じ手順で済む。これと同じようなことが政府の財政でもできないものだろうか。 実は政府のウィッシュリスト自体は既にあって、各省庁から財務省への概算要求は毎年開示されている。しかし、国民がそのウィッシュリストを読んでも、概算要求の個別の項目に対して直接資金を提供できる仕組みになっていない。欲しいのは、各省庁の概算要求が通販サイトやクラウドファンディングサイトのように開示されており、必要に応じてその詳細を調べることができて、選択した項目に対して簡単に送金できる仕組みである。各項目に対して数量を指定してショッピングカートに入れていって、最後に代金決済すると領収書が発行されるくらいの手軽さが欲しい。クレジットカードで決済できればなお良い。そして、政府に直接送金した金額を税額控除する仕組みがあれば、いわばふるさと納税の中央政府版になる。 ふるさと納税では「どの地域にいくら納税するか」を自分で選ぶことができ、それだけでは税収が不足する部分のみを通常の税制で補う仕組みである。伝統的な公共財理論では自発的供給だけでは供給が不足することが主張されているが、だからといってすべてを徴税で賄う必要などなく、自発的供給だけでは不足する分のみを税で補えば十分である。地方財政も自主財源だけでは不足する部分を地方交付税で補填する方式である。 財政支出は国民から預かったお金を国民のために支出するものなのだから、本来ならば「こういう用途で支出したい」という要望をもとに財源の手当てをするのが筋である。税を徴収することが当然の権利であってはならない。支出項目は多様だし、各人の価値観も多様なので、例えば国防のために重点的に資金を拠出したい人もいれば、道路のために重点的に資金を拠出したい