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子世代所得連動型社会保険

少子高齢化が進むと高齢者を支えるための現役世代の負担が増大すると言われている。たしかに困窮する人に死ねとは言えないので誰かが支えてあげるに越したことはないが、その一方で、支える側が困窮して日々の生活もままならなくなるのもおかしい。また、高齢者を支えるための原資は現役世代の稼ぎだが、現役世代が生きていけなくなってしまっては元も子もない。所得再分配には利害の対立が伴うが、そういうときにはバランスが大切である。となると、社会保険(主に公的年金と医療保険)の現役世代の負担比率に対して一定の上限を設ける必要があるのではないか。

そこで、社会保険の支給額の原資を世代別(コホート別)に区切って、親世代の社会保険の支給額を子世代の総所得の一定割合とするのはどうだろうか。親子間の年齢差をいくつに設定するかについては議論の余地があるが、人口統計上は30歳くらいである。すなわち、60歳での社会保険支給額の原資は30歳の総所得に一定の係数を乗じたもの、70歳での社会保険支給額の原資は40歳の総所得に一定の係数を乗じたもの、90歳での社会保険支給額の原資は60歳の総所得に一定の係数を乗じたもの等である。各世代ごとの係数に関しては、需給をマッチさせるためにある程度調整が必要かもしれない。

まず一つ目の理由だが、30年の年齢差を設けると社会保険の需要と負担能力とが意外とマッチする。30歳の所得はまださほど多くないが、60歳くらいであればまだ働ける人が多い。40歳になると多少は所得が増えてくるし、さすがに70歳で働くのはつらいので社会保険に頼りたい。80歳になれば医療費もかかってくるが、その頃には50歳の所得も増えているだろう。60歳の所得は減少するし、むしろもらう側に転じる時期だろうが、90歳で生きている人はほとんどいないので問題ない。

社会保険支給額の原資を子世代の所得と連動させるもう一つの理由は、親世代が子世代の所得増大に責任を取ってほしいからである。親世代は子世代の教育に責任を負っているのだから、子世代が稼げるように教育投資してほしい。また、50歳60歳で逃げ切るために20代30代の若者の所得を犠牲にして稼ぐ力を損なえば、将来自分がもらえる社会保険の額に跳ね返ってくるようにすることで、若者からの収奪に対する抑止力としたい。

少子高齢化が進むと高齢者の政治的影響力が強くなり、その結果高齢者が若者を収奪する政策が支持される。それを食い止めるために、若年層の所得が減少すれば高齢者の社会保険に跳ね返るようにしたい。若年世代の総所得を増やすためには、若年世代の一人当たり所得を増やすか、若年人口を増やすかする必要がある。そのため、親世代に子世代の稼ぎを増やす動機を与えることで、少子化に対する抑止力にもなる。

そもそもそんなことは社会保険の無い時代には当たり前だった。年を取ってから誰かに養ってもらうとしたら、通常は自分の子供に養ってもらうしかない。となると、子供を産んで育てる必要があるし、よく稼げるようになってもらわなければ自分の老後が危うい。子供がいなければ養子を取る動機がある。特に家系の存続が重要な武家や商家では家督相続権の無い次男三男等を養子に迎えることが当たり前だった。右肩上がりに成長できなかった江戸時代でもそれでやっていけた。

高齢者に責任を問うような政策が政治的に実現可能かという問題はもちろんある。おそらく政治的には難しくて、財政問題として財務省主導で推進しなければ実現しないのではないだろうか。財務省にとっては社会保険の財源の心配がいらなくなるので、決して悪い話ではないはずである。

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