回生ブレーキを効率的に用いるためには、電力の需要と供給とをマッチさせる必要がある。典型的なのはある列車で回生ブレーキをかけているときに付近の列車が加速していれば、回生ブレーキで発生した電力が吸収される。しかし列車密度の低い区間では電力が十分に吸収されずに回生ブレーキが失効する。今でも回生ブレーキの信頼性はさほど高くない。 抜本的な解決ではないものの、冷房を動かすタイミングを回生ブレーキと連動させると若干は改善するのではないだろうか。すなわち、回生ブレーキ時に冷房を最大出力で動かし、停車中や力行時には冷房をつけないようにし、全体としては所要の冷房能力を確保するようにする。このようにすれば、回生ブレーキで発生した電力の一部が冷房に吸収されるし、力行時の電圧降下を防ぐことができる。 実際、旅客機ではエンジンを最大推力で動かす離陸時には照明と空調を止めるが、サービスへの支障はさほどない。 もちろん冷房を使う時期にしか効果がないが、電力需要のピークは夏の日中なので、ピーク時の需要を下げる効果がある。 また、停車駅間距離の長い特急列車では効果がないが、加速減速を繰り返す各駅停車では効果があるのではないだろうか。 制御器の情報または架線電圧を読み取って冷房を入れたり切ったりできるよう、冷房の制御ソフトウェアを改造することで実現できるだろう。