4代目プリウスに最初に乗ったのは登場当初で、3代目プリウスには4WDがないため、4代目プリウスに乗るためにレンタカーで4WD指定して4代目プリウスを引いた。3代目プリウスはまともに走らない車で、こんな車を買う人は認知能力に問題があるのではないかと思うくらいだった。 4代目プリウスでは豊田章男社長の「もっと良い車を」の掛け声のもと、部分的に最初にTNGAが導入された車になった。従来とほぼ同じハイブリッドシステムにも関わらず燃費が2割向上したり、それでいてシャシーが良くなり、さらに燃費計測方式の変更からまともに走るようになり、良いことずくめのモデルチェンジだった。 TNGAの新しいシャシーのおかげでボディー全体が低くなったが、大ヒットした3代目の延長線上で万人受けする車を作ろうとしたのか、室内空間を大きく取っており、キャビン部分がぷっくりと膨らんでいる。メーターパネルは従来通りダッシュボード中央にあり、速度を確認するためにいちいち視線が移動し、「もっと良い車」に反する設計になっている。 さて久しぶりに4代目プリウスに乗ってみたところ、パワートレインはさすがTHS2だけあって、きちんと走る設定にさえすれば気持ちよく加速するし、燃費も素晴らしいのだが、過渡期の産物からかちぐはぐとした設計で、その後に出たカローラの方が車としてはよくできているように感じる。そういうこともあり、トヨタの普通のハイブリッド車としてのプリウスはもう使命を終えていると思う。 そんな中「なぜ今更プリウス」と開発者も疑問に思いながら開発された5代目プリウスは、上記のちぐはぐした部分をなくし、普通のトヨタ車には無いプリウスらしさを追求しているように見える。欧州の環境規制向けに高価なPHEVを導入したり、Dセグメント向けの2Lエンジンのハイブリッドシステムを入れてパワーを増大させたり、キャビンの膨らみをなくして低くしたりと、実用性からやや外れつつもハイブリッドのパワートレインの魅力を際立たせている。これだけ振り切った設計にできるのは、すでにトヨタ車でハイブリッドが当たり前になっており、普通の車に乗りたければそのような車を選べば済むためだろう。
最近は大抵の手続きがネット上で行われるようになった結果、その手の処理に馴染めない人は社会生活に支障するようになっている。生活に必要なことが自力でできないからといって死ねというわけにもいかないので、結局誰かが手助けせざるを得なくなる。これがIT介護である。個人においては親族が、企業においては情報システム部門のエンドユーザーサポート部門がIT介護の任に当たっている。 ITに限らず介護というのは大変な仕事で、ただでさえそれ自体が直接付加価値を生む仕事でないうえ、終わりの見えない仕事なので、体力もさることながら精神的にもきつい。だから情報システム部門のエンドユーザーサポート担当のIT技術者は一人また一人と辞めていき、その都度企業は優秀なIT技術者を失うことになる。 IT介護が精神的にきつい理由はいろいろありそうだが、とりわけ言葉が通じないのがつらい。単に知識がないだけなら説明すれば済むことで、それはさほど難しくない。 「○○をやろうとしたが先へ進めない」 「何をどこまでやって、どのような問題が生じましたか?」 「○○を入れたがそこで止まる」 「止まるとは具体的にどのような状態ですか?」 「止まる」「できない」 「パスワードを入れてもログインできない」 「半角文字と全角文字を区別して正確に入力していますか?」 「わからない」 いざ現物を見てみると、別にどうということもなかったりするので、その場で操作すればすぐに解決したりする。そのため画面コピーを送ってほしいとお願いしても、音沙汰がなかったりする。 自分が見たことややったことを正確で言葉で描写することは簡単なことではないが、それでも情報が伝わらないので問題解決のための手がかりが得られない。問題解決のためには問題の切り分けが必要なのだが、言葉の解像度が低いと問題を切り分けられない。 問題を切り分けられなければ解決できないので、どのような問題が起きてそれに対してどのように解決したかについての知見が蓄積しないので、いつまで経っても知見が増えないままである。国語力が欠如しているから学習できなくて、それがITにおいてはITリテラシーの欠如として表れるのだが、国語力の欠如による学習能力の欠如は汎用的な問題なのでおそらく他の分野のリテラシーも欠如しているのではないか。 しかし他の分野ではもう少し冗長性があるのでその問題が顕在化しにくいのかも