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12月, 2021の投稿を表示しています

地球平面説に関する素朴な疑問

地球は球体ではなく実は平面だったという地球平面説が一部の人々の間で支持されているようである。もし本当に地球が平面だとしたら船乗りは苦労しないよなと思いつつ地球平面説がどのようなものか調べてみようと思い立ったが、ガチな人たちの記述を読むと頭がクラクラしそうなので、 石井貴士さんがまとめてくださったもの を拝見した。 それによると、地球平面説の核心は2つあるようである。 地上から見えるものは実はホログラムである 地球は平面である 地球は平面であるということを正当化するために「地上から見えるものは実はホログラムなので神はいかようにも見せることができる」というロジックが用いられている。しかしそのロジックを用いれば、実は地球の形状が何であっても「神が尤もらしいホログラムを見せている」と説明できてしまうので、地球が必ず球体であるということは否定できるかもしれないが、だからといって必ずしも地球が平面でなければならない理由にはならないのではないだろうか。なぜなら、もっと複雑な形状を仮定しても、「神が辻褄を合わせてくれているから問題ない」と反駁できてしまうからである。どんな現象も説明できる説明原理は何も説明していないに等しい。となれば、そこから得られる結論は「地球は平面である」ではなく、「もし我々がある種のホログラム世界の中で生きているとしたら、我々は地球の真の形状を知り得ない」ではないだろうか。当たり前を疑うことは有意義だが、それならば「地球は平面である」というある種の人たちにとっての別の当たり前も疑って然るべきである。 仮に地球平面説が支配的な世界で地球球体説を唱えるとしよう。かつての天動説論者は、天動説よりも地動説の方が惑星の運行をシンプルに説明できると主張した。仮に夜空の星がホログラムだとしても、惑星が太陽の周辺を公転しているという理論モデルの方が物事をシンプルに説明できる。他にも、 直進する電波は水平線までしか届かないから、水平線よりも遠くにあるものはレーダーに映らない 北極や南極よりも赤道付近の方が自転速度が高い そこから派生してコリオリの力が発生することから、低緯度から高緯度への空気の動きは西風になり、高緯度から低緯度への空気の動きは東風になる といったような現象は、実際の地球の形状が何であれ、地球が平面であると仮定するときよりも、地球が球体であり自転していると仮定する

近代建築はなぜ泥に埋まっているのか

近代建築の中には1階部分が不自然に埋まっているように見えるものも見受けられる。典型的なのは、1階部分が半地下になっていて、その半地下部分に不自然な形の窓が作られていたりするものである。 煉瓦造りや石造りの重量の大きい建築物を建築する場合には、その重量を支えられるだけの地盤強度を持つ支持層まで杭を打つか支持層まで掘削して直接基礎を構築するかのいずれかが必要である。杭基礎工法が確立するまでは支持層まで掘削して直接基礎で構築するから、支持層の上で表土に埋もれている部分は必然的に地下室になる。地下室は表土からの湿気で内装が傷みやすいので、地上に露出した箇所に換気用の窓を設けることが通例である。 地盤の硬いヨーロッパではさほど表土を掘削しなくても岩盤層に当たるので、直接基礎であっても重量のある建築物を容易に構築できる。しかし、近代化と称して地盤の柔らかい場所にヨーロッパ式の近代建築を建てる場合には支持層まで深く掘削する必要があるし、形だけ真似て支持層まで掘削せずに建築すれば表土が建築物を支えられずに結局支持層まで沈下することになる。建築物が沈下した場合には、もともと1階だった場所が結果的に地下室になってしまい、かつて2階だった部分を1階として改修することになるため、地下室の窓配置が不自然だったり、1階部分の扉配置が不自然になったりする。この手の改修は実用上の必要に迫られてのものなので、建築当初の外観との整合を取る余裕がない。 この手の建築物が顕著に見られるロシアのサンクトペテルブルクは、河川からの堆積物の多い河口の三角州に人工的に作られた町で、もともと都市に不適な泥地にヨーロッパ式の建築物が建てられた。 近代建築が泥に埋まっているのは、もともとその土地に合った工法でないのにヨーロッパの技術を安易に移植したためである。近代以前の建築物に不自然に泥に埋まったまま現存している建築物があるだろうか。また、地中深くの支持層まで杭基礎を打てるようになって以降の建築物も不自然に泥に埋まったりしていない。建築というのは元来その土地にあった工法が継承されるものであり、泥に埋まるような建築物を建てる方がおかしい。近代というのはそのようなおかしな建築がまかり通ったおかしな時代であったともいえる。 土というのは我々の想像以上に軟らかいもので、例えば、高速道路で盛土と橋との境で大きな段差があったりする

カローラスポーツとカローラ(セダン)

比較的近い時期にカローラスポーツとカローラ(セダン)とを乗り比べることができた。あいにく、カローラシリーズで最も売れているカローラツーリングにはまだ乗れていない。 カローラスポーツはもともと欧州向け(かつてのオーリス)なので欧州の好みに合わせている。一方、日本で販売されているカローラとカローラツーリングは日本仕様になっているので、日本人の好みが反映されている。 まずパワートレインだが、カローラスポーツは欧州複合燃費や欧州の税制で有利な1.2Lのダウンサイジングターボであるのに対し、カローラは安価な1.8Lの自然吸気エンジンである。ダウンサイジングターボは低回転でトルクが太いし、低負荷では燃費が良いが、圧縮比が効いてくる高負荷では排気量なりのパワーでしかない。パワーに余裕があるのは1.8L自然吸気エンジンの方である。そのため、巡航時にはダウンサイジングターボの方が快適である一方、高速道路での追い越し加速では自然吸気エンジンの方が加速が良い。コストが安いのはおそらくターボのついていない1.8L自然吸気エンジンの方だろう。 次に、カローラスポーツは運転する楽しみを演出しているのに対し、カローラは運転に不慣れな人でも運転しやすいことを重視している。内装についても、カローラスポーツはところどころに赤の差し色を入れてスポーティーさを演出しているのに対し、カローラはもっとシンプルな内装である。着座位置についてもカローラスポーツは低めであるのに対し、カローラはそこまで低くない。乗り心地についても、カローラは日本の速度域に合わせてコンフォート寄りに設定している。 全長については、カローラスポーツは欧州Cセグメント車に標準的な4375mmに収めている。これは欧州では縦列駐車が多く、標準的な全長に収まっていないと縦列駐車が難しいためである。その代わり荷室のスペースが狭い。一方、カローラやカローラツーリングは全長4495mmあり、荷室のスペースに余裕がある。同様に、全幅についてもカローラスポーツは普通の3ナンバーサイズであるのに対し、日本向けのカローラは3ナンバーサイズではあるものの、なるべく幅が広くならないように、日本独自設計にしている。 結局日本で売れているのは日本人の好みに適合した方である。カローラスポーツは欧州仕様をそのまま日本に持ってきたという点では面白い車である。欧州車が好きな