北陸新幹線を新規に建設するとしたら、高崎から上越妙高まで建設するよりも、既に上越新幹線のある越後湯沢駅で分岐するのが最短距離だし建設距離も短いのではないかと思えてくる。 しかし、最初の越後湯沢の分岐から難しい。越後湯沢駅の両側はトンネルに挟まれているので、立体交差で分岐するとしたら現在ガーラ湯沢駅となっている留置線への分岐を活用するしかない。越後湯沢駅は島式2面6線で中央の2線がホームのない本線である。留置線に分岐できるのはホームのある線路からなので、越後湯沢駅進入時に必ず速度制限を受ける。留置線への分岐にしても、本線としての勾配ではないし、信号システムは単線並列だったりするので、少なくともガーラ湯沢駅を抜けるまでは速度制限を受ける。関東を北陸とを結ぶ列車が必ずしも越後湯沢駅に停車する必要はないのだが、 停車させざるを得ないし、仮に通過しても所要時間への寄与はほとんどない。 ガーラ湯沢駅を抜けたら石打丸山スキー場の横を抜けて十二峠の下をトンネルでくぐって越後田沢駅方面に向かうのだが、信濃川沿いの盆地は比較的平らなのでここを高架橋で抜けるとしても標高差が大きく、規格外の急勾配ができてしまいそうである。 越後田沢駅付近で飯山線とほぼ直角に交差してまつだい付近で直江津駅に向かうことになるだろうが、この付近は地盤が悪く、トンネル工事史上悪名高い鍋立山トンネルがある。ここにトンネルを掘ろうとしたらトンネル工事が理由で開業が遅れそうである。 山を無事に抜けられたら国道253号に並行して直江津駅に向かうだろう。飯山駅経由のルートと違って、無理なく直江津駅を経由できる。あとはトンネルで一直線に能生に向かい、そこから先は現在のルートと同じになる。 ということを考えてみると、やはり北陸新幹線を越後湯沢から分岐させるのは技術的に厳しいのではないかと思えてくる。もともと碓氷峠の補機連結解消のために高崎軽井沢間でフル規格新幹線の建設が決まっていたので、それを延長する形の長野経由の方が技術的にやりやすいだろうし、たとえ建設費が余計にかかっても沿線人口の多い地域を通って収益を上げる方がよいかもしれない。