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土地の所有権は必要か

土地には様々な権利が付随する。空中権とか地上権とか地中権といった使用権や、鉱業権や環境権といった利用権である。一方、土地には消費されないという特性がある。どんなに使用しても土地そのものが無くなるわけではないし(埋蔵されている鉱物は掘れば無くなるが)、建物と違って物理的に劣化することもないからである。したがって土地は減価償却の対象外だし、土地の取引には消費税がかからない。 しかし使っても無くならないとしたら、そのようなものに所有権を設定することに一体何の意味があるのだろうか。所有権とは元来、自由に処分する権利である。すなわち、自ら使用・利用の権利を留保するか(行使するしないによらず)、他者に権利を与えるか、廃棄するかを自由に決めることのできる権利である。土地には廃棄するという選択肢が無いから、使用や利用の権利を留保するか、あるいは使用・利用の権利の一部または全部を売却するかしかない。使用や利用の権利はもともと金銭での取引が想定されているものなので、結局土地には使用や利用に関する権利の束しか存在しないことになる。他の権利との整合性を確保すべく、そのような権利の束を便宜上所有権とみなしているに過ぎない。 土地はもともと地球のものである。人間は地球から与えられた土地を間借りしているに過ぎない。土地をどのように使用・利用するかについては人間同士の権利の取り決めが必要だろうが、土地を作り出すことも廃棄することもできない人間が土地を所有するなんておこがましい(埋め立てや干拓によって陸地を作り出すこともできるがそのためにはその水面に関する権利が必要)。土地を所有しているなどと思い上がったことを考えるから土地の所有をめぐって争ったりするのである。そういう無益な争いを無くすためにも、土地を所有するなどという概念は取り払ってしまった方がよいのかもしれない。