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6月, 2017の投稿を表示しています

「交通事故の5割が速度超過」の意味するもの

たまに高速道路の電光掲示板で「交通事故の5割は速度超過」と表示されることがある。どうやら警察は「交通事故のうち半分は速度超過なのだから、速度を落としなさい」と言いたいように見える。もしかしたら「速度超過が無くなれば交通事故の半分は無くなる」と本気で信じているのかもしれない。しかし「交通事故を起こさなかった車の何割が速度超過しているのか」「速度超過割合の差は統計的に有意か」という段階を経なければこの比率を統計的に解釈することができない。 日本の道路の制限速度は道路構造令上の設計速度よりも時速20kmほど低めである。道路構造令上の設計速度は大型車を含めて安全に走行できる速度だから、車の種類によってはまだ余裕があるし、雨天時よりも晴天時の方が、夜間よりも日中の方が安全に走行できる速度は高い。それでも日本のドライバーは制限速度を多少は尊重するようで、一般道の場合は制限速度+10km/hくらいが平均で、制限速度を超過している車は体感的には8割~9割くらいだろうか。高速道路の場合は速度超過の比率が体感で5割~7割くらいだろうか。道路を走る膨大な数の車が母集団なので、速度超過の比率はおそらく統計的に有意だろう。 となると、交通事故車における速度超過車の比率5割というのは一般道の平均よりはかなり低いことになる。世界的に見ても低めの制限速度をさらに下回っている車が交通事故の5割も占めていることの方がむしろ驚きである。 一つの可能性は、速度超過車の比率が5割程度の道路で交通事故が発生しやすいということである。例えば、高速道路では制限速度100km/hであっても80km/hくらいでゆっくり走っている車が多いから、全体での速度超過車の割合は5割くらいかもしれない。しかし、高速道路での事故で典型的なのは追い越し車線での玉突き追突事故や無理な割込みによる衝突事故であり、これは主に速度超過車が起こす事故である。警察が主張するように、ゆっくり走っている車が事故を起こす可能性は低い。低い速度で起こりうる事故といえば、渋滞時の前方不注意による追突事故だが、これは速度超過とは全く関係ないし、もともとの走行速度が低いので、追突といっても軽微な接触事故に留まる。渋滞の末尾に気づかずに追突してしまう事故もあり、たしかに走行速度が高ければ高いほどブレーキをかけても止まりきれない可能性が高いし、発生す

左折車と歩行者との干渉をどうにかできないものか

都市部の交通量の多い道路だと、車だけでなく歩行者も多い。歩行者がひっきりなしに道路を横断するので左折車がごく限られたタイミングで1回の青信号で1台とか2台とかしか通過できないので、左折待ちの列が伸びてしまう。左折専用レーンでなくても、左折待ちの車で詰まるので、事実上左折専用レーンになっている。では右折車はどうなのかといえば、交通量の多い交差点では右折レーンと右折信号機があるので、右折信号で通過する際には歩行者と干渉しない。 それならば右折信号機が青のときに左折も認めるようにすれば左折車が歩行者と干渉せずに通過できる。南から東に右折する車と北から西に右折する車が通行する際には、東から南に左折する車と西から北に左折する車も通行できる。さらに、交通量の多い交差点なら車線数も多いので、北から西に右折する車と南から西に左折する車を同時に通過させても干渉しにくいし、左折の機会が倍増する。直進+歩行者と右折+左折を交互に通せば左折待ちの列が発生しないし歩行者も左折車に気兼ねなく横断できる。 交通量の多い交差点でよく見かけるのは歩者分離式だが、歩行者と自動車とを分離しても直進車と右折車は干渉するし、自動車も歩行者も待ち時間が長くなってしまう。 実際には道路の状況はそれぞれ異なるし、直進、左折、右折、歩行者の交通量もまちまちなので、一律に導入できるものではないだろう。しかしそれでも導入できるところから導入していけば、その分交通が円滑になるし、潜在的な事故のリスクも低下する。