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緯度経度のグリッドで土地を管理できないものか

今までの土地行政のあり方を根本からひっくり返すようなことを言うと土地家屋調査士や測量士から猛反発を受けそうだけど、素人の素朴な疑問として考えてみた。

日本での土地の管理のしかたは、地図に地番を付した地籍図と、地番ごとに面積や地目や各種権利を記録した登記情報から成る。土地は原則として1つの地番(1筆)単位で管理されるものなので、土地を分割する必要が生じたら分筆することになる。分筆に際しては確定測量を実施して周辺地権者の同意を得る必要がある。逆の手続として合筆というのもあるが、合筆する必然性はさほど無いので、結果的に分筆を重ねるうちに土地が細分化していく。地積図では見えないような細かい筆が発生してしまい、地積測量図を見なければ形も大きさもわからない。

また、地籍図上にアドホックに地番を付していくので、どの地番がどの場所にあるかを知るためには、目を皿のようにしながら地籍図上で地番を探す必要がある。大きな筆なら容易に識別できるが、細かい筆は地籍図では見えないので、欄外にそのような細かい地番が記されることになる。さらに、分筆を重ねるごとに地番に枝番が追加されていき、なおさらどこに何があるのかわけがわからなくなっていく。このようなやり方を続けていたらいつか破綻するのではないだろうか。

それならば、最初から最小の単位で土地を管理してしまえばどうだろうかと思い立った。Google Mapの緯度経度は十進法表示で小数点第6位まで表示できる。経度1度の距離は緯度によって異なるものの、緯度経度の100万分の1度のグリッドは、概ね10cm四方である。現在の技術でも、10cm四方で土地を識別することができるのである。それならば、この10cm四方の土地を緯度経度の十進法表示で付番して、これを土地管理の最小単位にしてしまえば、測量して土地の形や地積を割り出すみたいな面倒な作業が一切不要になるのではないだろうか。測量して地図を起こすやり方がアナログな方法であるのに対し、1つのグリッドの積み重ねで管理するのはデジタルな方法である。

緯度経度の十進法表示で最初から付番されているので、地番と地図上の座標とが最初から紐付いており、容易に場所を識別できる。カーナビでの目的地設定も容易であり、GPSを併用すれば迷うことがない。さらに、緯度に応じて地積が一意に決定するので、地番ごとの地積を集計するまでもなく、グリッドの数と緯度データによって容易に合計面積を算出できる。

当然のことながら、アナログの方が正確である。デジタルだと解像度に応じてギザギザができてしまい、アナログと全く同じものを再現することはできない。10cm四方だと、ギザギザが大きすぎてまだ実用には耐えないかもしれない。しかし将来技術が発達して1mm四方で識別できるようになったらどうだろうか。日本の建築物の設計や施工は1mm単位だから、土地も1mm四方であれば、十分実用に耐えるのではないだろうか。それ以上土地を細かく区切っても、施工技術が追いつかなければ意味がない。現在は画像データも音声データもデジタルで管理されており、アナログデータに比べれば大幅に情報が欠落しているにも関わらず実用上は特に支障ない。むしろデータが劣化しないという利点の方が大きいだろう。であるならば、土地の管理方法でも、デジタルになって情報量が欠落するとしても、それを補って余りあるメリットがあればデジタルで管理してもよいのではないだろうか。

昔はアナログな方法しか無かったし、人力で三角測量を繰り返す必要があったし、登記簿も地籍図も紙で管理されていたから、デジタル化するという選択肢は無かったが、今では登記情報も地籍図も電子データとして管理されているし、GPSもあるし、膨大なデジタルデータを管理できるだけの情報技術もあるのだから、それを前提としてより効率的な方法が追求されてもよいのではないだろうか。

【メリット】

  • 緯度経度によって場所を一意に特定できる
  • GPSやカーナビとの親和性が高い
  • 地積を容易に算出できる
  • これ以上の分筆や確定測量が不要(グリッドの単位が細かくなった場合であっても、データを分割すれば対応可能)
  • 分筆不要なため、任意の区分で土地の取引が可能

【デメリット】

  • アナログデータからデジタルデータへの移行に際して誤差が発生するため、処理方法を決めておく必要がある。→一過性のものなので特別立法で対応できるのではないか。
  • 管理対象の地番の数が爆発的に増加するため、莫大な量のデータを管理する必要がある。→現在の情報技術なら問題ないはず。
  • 登記情報データの出力方法に工夫が必要。1mm単位で1枚ずつ登記事項証明書を出力されてしまったらとんでもない紙の枚数になってしまう。
  • GPS衛星が使えなくなった場合のバックアップとして従来の測量手法でカバーする必要があり、測量の精度に制約される。(現在の測量の規格で最も精度が高いもので、誤差2cm程度)→それならばその精度に応じたグリッドでも実用上問題ないともいえる。
  • 大地震によって地面の位置が移動した場合に補正が必要。緯度経度を正とした場合、地面がずれたからといって、地面の上に乗っているものを元の位置に戻すことは事実上不可能なため、現状に合わせて緯度経度データを変更する必要がある。すなわち、座標と紐付いている登記情報データを一斉に移行する必要がある。それを避けるためにはグリッドデータのIDと緯度経度とを切り離して、グリッドデータのIDごとに緯度経度データを付与して、都度緯度経度データの補正をかける必要がある。
  • 補正のもとになる水準点や三角点の数は有限なので、補正の際にデータの不整合が生じる可能性がある。
  • 地面の移動によって緯度が変わってしまうと、経度1度の距離も変わってしまうが、それに合わせてグリッドの東西長を変えるのは事実上不可能。
  • 住居表示としてはわかりにくいので、現状と同様に住居表示を併用する必要があるかもしれない。特に集合住宅の場合、同一座標に複数の住居があるので、区別する方法が必要。→ただし、土地とは直接関係ない。
このように列挙してみると、もし地面が全く動かないなら便利な方法なのかもしれないが、地面が動く可能性を考慮するとむしろ煩雑になりそうな印象を受ける。

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