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ガラパゴスケータイはなぜ機能過剰なのか

日本の携帯電話は、機能過剰でユーザーに買い替えを促し、その開発コストを通話料に転嫁するビジネスモデルだと言われている。それでは国際競争力が無いという理由で、ハードウェアと通話サービスとの分離が促進されることになった。たしかにそう言われると尤もらしいのだが、本当にそれだけだろうか。

基本的に、本来の機能で満足していれば、余計な機能を好まないものである。例えば、掃除機にゴミの吸引以外の機能をつけようと思うだろうか。アメリカ人は電話が好きなので、大抵のアメリカ人は携帯電話に通話機能があれば満足する。電話で話すことによってコミュニケーションが完結するので、他のコミュニケーション手段を求めない。スマートフォンなんて使うのはビジネスパーソンとオタクくらいである。ウォークマンだって、音楽を再生する機能は充実しているが、ビデオカメラも歩数計もついていない。ウォークマンはあくまでも音楽を聴くための機器である。関連性の乏しい機能を同一の機器で実装するのは、価格差別としては面白いかもしれないが、どれか1つでも壊れたら使い物にならない以上、あまり効率的ではない。1台で何でもできれば便利かもしれないが、えてしてどれも中途半端になりかねない。

日本の携帯電話がガラパゴス化するのは、もしかしたら日本人が会話によるコミュニケーションをあまり好まないからだったりしないだろうか。また、iPodが純粋な音楽プレイヤーでないのは、もしかしたらアメリカ人は音楽にじっと耳を傾けるのがあまり好きではないからだったりしないだろうか。さほど重要でない機能のために外に持ち出すのは面倒なので、ついでにPDAやその他のコミュニケーション手段としての機能を持たせたがるのではないだろうか。

もともとこの手の携帯機器は生活習慣に根ざしたものだから、国によって仕様が異なるのは当然である。国際標準なんてものがあると思う方がおかしい。たまたま生活習慣が先鋭的でなければマスマーケットを取りやすいだけのことである。日本企業が自国のマーケットを捨てて国際市場で勝負することにあまり意味があるとは思えない。もちろん市場規模は大きくないので、あまりに多くのメーカーが生き残ることはできないが、それは市場の参加者が多すぎるというだけの話であり、統合や淘汰が進み、市場規模に見合った数に収斂すれば特に問題ない。日本市場から淘汰されたメーカーが国際市場に打って出る可能性もあろうが、コモディティ化してしまえばあとは価格競争の世界なので、そういう市場に打って出ることにあまり意味があるとは思えない。

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