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小田急70000形ロマンスカー

2016年10月20日のプレスリリースで新型特急ロマンスカー「70000形」の製造を決定したことが発表された。

7000形LSE車の置き換えはいずれ必要なので特急車を新造すること自体は予見されていたが、せいぜいEXEの更新予備として60000形MSE車を新造し(実際、2015年度に10両新造されている)、EXEの更新が終わったタイミングでさらに4両~6両新造したLSE車を置き換えるのではないかと予想していた。MSEは汎用性が高く扱いやすいし、まだ4両編成は数が少ないのでもう少し数が増えた方が運用しやすいのではないかと思ったためである。それに、ラッシュ時に特急を増発するなら一部を地下鉄直通にしないと新宿駅での折り返し容量が不足する。

今回新形式を起こした背景としては以下が考えられる。

  1. 2008年のMSE投入から10年近く経過しており、そろそろ次形式に移行するタイミングにある。
  2. 展望席には依然として人気があり、展望席を持つLSE車の置き換えのためには展望席を持つ車両の投入が必要である。
  3. 通勤輸送を考えれば6+4編成の方が扱いやすいが、6+4編成だと箱根湯本乗り入れは6両になり、ピーク時の小田原箱根湯本間の輸送力が不足する。
  4. 連接車のVSEは車体傾斜制御や自己操舵台車といったギミックが多く搭載されており扱いにくい。
  5. 複々線化完成でラッシュ時に特急を増発できることになり、特急車の増備が必要。
そうして登場するのが20mボギー車7両編成で展望席付きの70000形である。展望席付き編成はVSEと合わせて4編成なので、ピーク時には1時間ごとに展望席付き列車を走らせることができる。

【新造費用】
ギミックてんこ盛りのVSEの新造費用が2編成で35億円だったのに対し、70000形は比較的コストの安いボギー車であるにも関わらず、2編成で40億円の新造費用を見込んでいる。一体どこで費用がかかっているのだろうか。

【座席定員】
VSEの358人に対して70000形では400人と増えている。もしかしてピーク時にはVSEよりも70000形の方が優先して充当されるかもしれない。NSEやHiSEが現役だった頃もピーク時には座席数の多いNSEが優先的に充当されていた。座席定員が増えているということは座席以外のスペースが簡略化されているということでもあり、朝夕の通勤輸送も意識している。小田急ロマンスカーのイメージアイコンは依然としてVSEなのだろう。

【制御装置】
1000形更新車やEXE更新車に採用されているのと同様のSiC素子を用いたVVVFインバータ制御装置を搭載している。機器の詳細な仕様はまだ発表されていないが、おそらくEXEと同様に大容量の電動機を搭載して電動車比率が低いのではないか。EXEの箱根湯本乗り入れでは空転が多発していたが、70000形では空転対策として編成滑走制御が採用される。EXEではモーター音の大きさが気になったが、70000形では全密閉式電動機が採用されるほか、コンプレッサーや空調装置、駆動装置等に低騒音タイプの機器を搭載することで低騒音化を図っている。



【車内WiFiシステム】
ANAやJALに搭載されているのと同様だろうが、展望ライブ映像を配信して、展望席に座っていなくても全面展望を楽しめるようになっているのは画期的である。

【外観】
まだイメージイラストしか発表されていないが、ヴァーミリオン単色塗装になっている。20mボギー車で展望席付きであることから、まるで名鉄パノラマカーのように見える。単色塗装はVSEやMSEに続くものであり、更新前のEXEも単色塗装である。VSEは特別な車両ということで白、MSEは地下鉄の駅でも映える青だが、70000形では小田急ロマンスカーのイメージカラーであるヴァーミリオンをそのまま採用した。箱根観光を意識した色だし、たしかに他の色もなかなか思いつかないが、VSEと比べると格落ち感がある。LSEの後継車だからというのもあるだろうが、NSEやLSEは先頭部こそヴァーミリオンだが側面ではグレーの比率が高く、意外と落ち着いた色使いである。

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