宅配便がパンクしている。ヤマト運輸はやむなく値上げした一方で、ヤマト運輸の顧客の受け皿となったゆうパックは遅配が生じている。しかし、荷物を運ぶ手段は物流業に限らない。乗用車の大半は空きスペースを残して走っているし、全国津々浦々走る乗用車の出発地や目的地は多種多様なのだから、目的地がマッチするなら空きスペースで荷物を運ぶことができる。「目的がマッチするなら」というのが曲者で、広範囲で不特定多数を相手に商売するなら直行便方式よりもハブアンドスポークの方が効率的である。一方、既存の物流業の隙間を埋める形で細々と直行便方式で運ぶという選択肢もあり、情報技術の発達によって昔ならできなかったようなマッチングを実現できるようになった。 ハブアンドスポーク方式と直行便方式という観点とは別に、混載便とチャーター便という観点もある。混載を前提とするならハブアンドスポーク方式の方が効率的だが、小さい単位でチャーターすれば直行便を設定できる。海運においても定期船は巨大コンテナ船がハブアンドスポーク方式で運航している一方で、バルクカーゴはチャーターによる直行便である。大きな輸送単位で直行便を設定しても効率が悪いが、小さい輸送単位できめ細かく直行便を設定するような輸送形態があってもよい。 物流において制約になっているのは輸送そのものではなく、拠点での積み下ろしと集配である。ハブアンドスポーク方式では拠点での積み替えが必ず発生するし、混載便なら集配に時間がかかる。しかしチャーター方式で直行するなら、荷物を積んで移動して目的地で降ろすだけなので簡単である。相手が荷物を受け取る時間や場所も当事者間の調整だけで済むので無駄が発生しにくい。 気を付けなければならないのは、運送業許可を取得せずに他人の需要に応じて有償で荷物を運ぶと貨物自動車運送事業法違反になることである。裏返せば有償でなければ業法上の制約はないので、個人間の相互扶助であれば問題ない。ただしこれは実態で判断されるので、実質的に営利目的で運んでいれば業法違反である。人を運ぶ場合にライドシェアを建前にする実質的な白タクが業法違反になるのと同様である。しかし、もう営利目的にこだわらなくてもよいのではないか。皆が互いに与え合えば必要なものは概ね行き渡る。お金を払わなくても欲しいものが手に入る世の中になれば、お金を稼ぐために働く必要もなく...