スキップしてメイン コンテンツに移動

認知能力が衰えても安全な電気自動車のありかた

認知能力が衰えてもさほど周囲に害をなさないガソリンエンジン自動車を思い描くなら排気量360cc時代の昔の軽自動車規格に立ち返ればよいのではないかと思うものの、これから新しく設計するなら電動化時代を見据えたものも考えておいた方がよいだろう。電気自動車はガソリンスタンドに行かなくても自宅で充電できるし、走行距離が短ければ航続距離が問題になることもない。車無しでは暮らせないような地域で最低限の生活の足を確保するなら、ガソリンエンジン自動車よりも電気自動車の方が有利だろう。

しかし電気自動車特有のリスクもある。まず、電気モーターは低回転から大トルクを発揮できるので、セッティング次第では暴走もありうる。ブレーキについても回生ブレーキを使えるので人間の踏力で安全に停止できる速度よりも高い速度での運転が可能である。ガソリンエンジン自動車と同じUIで電気自動車を設計したら、ガソリンエンジン自動車と同じ欠点も引き継ぐことになるので、現在の暴走リスクも引き継ぐことになる。安全な電気自動車を設計するためには電気自動車に最適化されたUIで設計する必要がある。

人間の身体能力の自然な延長線上にある電気自動車として真っ先に思い浮かぶのは、すでに広く導入されている電動アシスト自転車である。これは原付免許不要にするために人間が漕ぐ力と同等レベルでしか電動アシストをしない。さすがに電動アシスト自転車では最低限の移動の足には物足りないので、電動アシストの度合いを大きくした方がよいだろう。しかし電動アシストの考え方自体は残した方がよい。なぜなら、ペダルを漕ぐタイプのアクセルならばブレーキとの踏み間違いが発生しえないからである。また、ペダルを漕ぐには一定の身体能力が必要なので、ペダルを漕ぐ能力が衰えれば必然的に走行速度も低下するのでフェイルセーフである。ハンドルは自転車と同様のもの。ブレーキも自転車と同様の手で握る方式。電力回生ブレーキを実装するにしても握力が衰えれば走行速度を落とさざるを得なくなる。そして何よりも既に普及している自転車と同一のUIなので、自転車を安全に運転できる人なら誰でも安全に運転できる。

自転車と同じハンドルとブレーキを採用するなら、前輪は1輪でなければならない。2輪車と3輪車と4輪車とでは曲がる原理が根本的に異なっている。2輪車は車体を曲線内側に傾けることでタイヤの左右の半径の差で曲がると同時に遠心力を相殺する。4輪車は前輪の左右のタイヤが中心に寄ろうとする力の差でコーナリングフォースを発生させる。遠心力を受け止めるのは外側の車輪とサスペンションである。3輪車ならハンドルを左右に切るしかできないのでこれが最も直感的である。手で握るタイプのブレーキは円形のステアリングホイールでは実装できないので、曲がる仕組みも自転車と同じでなければならない。自動車のステアリングが円形なのは、ギアを用いて操舵力を増幅するためで、梃子の原理でステアリングの操舵量が増大するから円形のステアリングが必要になる。しかし、自転車のように細いタイヤを履くなら操舵力を増幅する必要がないのでバーハンドルで十分である。3輪車はカーブで転倒しやすいが、速度を抑制するためにはその方が望ましい。

前輪が1輪でバーハンドルを装備した自動車といえば戦前のオート三輪である。これに電動アシスト自転車用のペダルとモーターとバッテリーを装備して電気自動車にする。変速ギアをつけると機構が複雑になるし、ガソリンエンジンと異なり電気モーターは低回転でも高いトルクを発揮できるので、変速機を省略する。ママチャリのようにローギアにして、ペダルを漕ぐスピードによって車両のスピードが制約されるようにする。後輪を2輪とすることでスペースと積載量を確保し、屋根を取り付ける。自転車を漕ぐのと同じ感覚で時速40km程度で走行できればよいのではないか。小型軽量なので、アシストの度合いを増大させても必要なバッテリー容量は少なくて済む。モーターを駆動させる力はバッテリーから放電される電力量に制約されるので、バッテリー容量が小さければ暴走のリスクが低減される。既に世の中に存在する技術の組み合わせで簡単に実装できるし、それでいて認知能力に問題のあるドライバーが人を殺すリスクを大幅に低減できる。

このブログの人気の投稿

中野駅配線改良案

【現状での課題】 発着番線がバラバラでわかりにくい。 緩行線新宿方面行きは2番線または5番線発。三鷹方面へは1番線発、3番線発、または6番線発。東西線は4番線または5番線発。次の列車の発着番線を階段下の電光掲示板でいちいち確認しなければならない。 対面乗り換えができない。 緩行線と快速との対面乗り換えができないばかりでなく、緩行線と東西線との対面乗り換えもできない。緩行線中野止まりの列車から三鷹方面への乗り換えは2番線から3番線への移動が必要。東西線中野止まりの列車から三鷹方面への乗り換えは4番線から1番線への移動が必要。緩行線上りから東西線への乗り換えは5番線から4番線への移動が必要。緩行線上り東西線直通列車から緩行線上り新宿方面への乗り換えは5番線から2番線への移動が必要。すべて階段の昇り降りが伴う。 中野駅での乗り換えの不便さから派生する杉並三駅問題。 高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪から新宿方面に行く場合、中野駅で快速に乗り換えるのも、東西線直通列車から緩行線に乗り換えるのも不便であり、新宿志向の強いこれらの駅で快速が通過すると極めて不便になる。そのため、快速列車がこれらの駅に停車せざるをえなくなり、快速の所要時間が増大し、遠方からの旅客の負担になっているのに加え、特別快速や特急のダイヤも制約される。 【背景】 緩行線の車庫の存在。 大正時代に両国から中野までの線路が建設されて以来、中野が総武線からの乗り入れ列車の終点であり、車庫も中野にあった。現在は検修機能は三鷹に集約されているものの、留置線は引き続き使用されている。なお、三鷹の車庫はもともとは快速線用として建設されたもので、豊田に快速線の車庫ができた際に緩行線の車庫になった。 総武線側と中央線側の旅客数の違い。 比較的混雑する総武線側は列車本数が多く、しかも都心側で折り返し可能な駅が中野と三鷹しかない。一方、中央線側は乗客数が少ないため、輸送力を調整する必要がある。現状では中野を境に輸送力に大きな差をつけているが、緩行線の利便性を向上して乗客数を増やせば中野での折り返しが必要なくなる。 東西線と緩行線の両方に中野駅折り返し列車が存在する。 そのため、緩行線の2面3線のホームが東西線の島式ホームを挟み込む形になっている。2番線は主に中野での折り返し列車向けに使われているが、車庫への入出庫用

iTunesの「空き領域へ曲を自動的にコピー」機能

音楽再生環境をiPhoneに移した。電話を着信した際に、即座に通話できるようにするためである。しかしこのiPhoneはメモリ容量が16GBしかない。64GBあれば手持ちの音楽ライブラリのほぼすべてを入れることができるのだが、そもそも電話として導入されているものなので贅沢は言えない。Android端末だとmicroSDカードを挿して容量を増やすことができて、今なら128GBのmicroSDXCカードが4000円くらいで買えるのだが、iPhoneやiPodだと内蔵されている容量しか使えない。 どのみち64GB分に音楽ライブラリがあったって全部聴くにはまるまる21日かかるのだから、一度に全部を持ち歩く必要もない。それに、普段シャッフル再生ばかりなので、その日に聴く分だけランダムにコピーされていれば十分である。幸い、iTunes上で同期する際には「空き領域へ曲ど自動的にコピーする」というオプションがあり、これを有効にしておくと、その名の通りiTunes側で適当に曲を見繕って入れてくれる。これはもともとiPod shuffle向けの機能だったのだが、iPod shuffleに限らず音楽ライブラリのサイズに比べて音楽プレイヤーのメモリ容量が不足する場合には便利な機能である。 それだけだと「そういう機能がありますよ」という紹介でしかないのだが、しかし、少し調べてみた限りでは、iTunesがどうやって曲を選んでいるのかよくわからない。どうせシャッフル再生するので、同期するたびにランダムに選んでくれれば十分なのだが、コピーされた曲を見てみると、ある程度アルバム単位でまとめてコピーしているように見える。また、同期するたびに再生済の曲を削除して別の曲を代わりに入れてくれるとありがたいのだが、そうなっているようにも見えない。だとすると時折曲を入れ替える必要があるかもしれない。 できれば、特定のジャンルの中から、あるいはチェックマークをつけたアーティストやアルバムの中から容量に合わせてコピーするとかできればよいのだが、今のところそういう機能は無いようである。

東横INNレンタカーサービスを利用してみた

東横イン では、 タイムズカーレンタル (旧マツダレンタカー)と提携して、 宿泊客向けに安価にレンタカーを提供するサービス を実施している。コンパクトカー(デミオ)が24時間5460円(税込、免責補償込)で利用できるだけでなく、東横インの駐車場を無料で利用できたり(大半の東横インの駐車場は有料である)、ホテルまで配車してもらえたりする。ちなみに ルートイン と オリックスレンタカー が提携して 同様のサービス を提供しているが、駐車場無料や配車サービスは含まれていない。また、東横INNレンタカーサービスに比べて少しだけ高い。 東横INNレンタカーサービスを利用するには、まず東横インに宿泊予約をした上で、東横INNレンタカーサービス専用の電話番号に電話してレンタカーの予約をする。その際、東横インの予約番号を尋ねられるが、楽天トラベル等の他のサイトを経由して予約するのでも問題ない。予約情報は予約センターから宿泊先の東横インにFAX(電子メールではないらしい)で送信され、駐車場が必要な場合には駐車場の予約もなされるようだが、念のため駐車場の予約状況については東横インに直接確認してほしいと言われる。予約が完了すると7桁の予約番号をもらうので、変更やキャンセルの場合にはこの予約番号を告げる。 24時間をどう配分するかについては選択の余地がある。早朝に出発するなら前日夕方から借りると便利である。反対に、夕方の帰着がレンタカーの営業時間後である場合や帰着が遅れる可能性がある場合には、翌朝まで借りておけば安全だろう。1泊して空港から往復するなら、正午から翌日正午までといったような借り方が便利だろう。空港からの往復で利用するなら、大人2人なら空港リムジンバスで市内に往復するのと同じくらいの値段だし、デミオだと狭いが無理して3人とか4人で乗ればバスよりも安い。 デミオは後部座席と荷物室が狭いので、大人4人で乗るのは難しいが、どのみち安いので2台借りて2人づつ分乗するか、あるいはもっと大きなサイズの車を借りるかした方がよいだろう。デミオクラス以外の車を借りるときには基本料金から15%割引である。ただしこの程度だったら他社とあまり変わりなかったりする。 東横インにチェックインしたときに東横INNレンタカーサービスを利用している旨は伝わっていた。駐車場の予約情報が伝わっている