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ソニーのワイヤレスポータブルスピーカーh.ear go 2(SRS-HG10)を使ってみた

ホテルでワイヤレススピーカーの貸出があったので、部屋用に借りてみた。ソニーのh.ear go 2(SRS-HG10)という製品である。てっきり単なるBluetoothスピーカーかと思いきや、日本企業の製品にありがちな様々な機能がてんこ盛りの製品だった。

大きさは500mlビール缶に収まるくらいの四角い箱である。手に持つとずっしりと重く、仕様を調べてみたら700gとある。大きさ重さともにUE Boom 2と同じくらいである。UE Boom2は型落ちなので値段はUE Boom 2の方が一回り安いが、後継のUE Boom 3と同じくらいの価格である。

バッテリー式で、microUSBの充電用端子がついている。バッテリー持続時間は12時間とあるので、寝ているときに充電すれば、起きているときには自分のいる所に持ち運んで使うことができる。出力は12W+12Wの24Wとのこと。UE Boom 2の10W+10W=20Wよりも一回り大きい。本体の左右に直径35mmのステレオスピーカーがあり、中央の前後にパッシブラジエーターがついている。

説明書がついていなかったので本体を眺めてみると、まず入力モードとしてNetwork、Bluetooth、USB、Audio Inの4種類がある。うちUSBとAudio Inは有線接続で、USBは本体にmicroUSB端子がある。Bluetooth接続は他のBluetoothスピーカーと同様なので、ひとまずBluetooth接続で使ってみた。

ホテルの狭い客室で使うには十分なパワーである。EXTRA BASSのボタンを押すと小さい筐体からは想像がつかないくらいに低音が大きくなる。そのままだとホテルの客室では音が大きすぎるが、低音を増幅すると音量を絞ってもよく聞こえるので、音量を絞るのだったらEXTRA BASSを有効にした方が便利かもしれない。

意地の悪いことを思いついて、同じ音源をUE Boom 2でも鳴らしてみた。音はUE Boom 2の圧勝で、EXTRA BASSを有効にしたSRS-HG10よりも低音が鳴る。UE Boom 2のBluetoothはSBSしか使えないし、出力も劣るが、スピーカー本体の性能の方が効いている。こちらは360°スピーカーなので音が広がるし、防水仕様なのでバスルームでも使えたりする。単なるBluetoothスピーカーとして使うならUE Boom 2の方が有利だろう。SRS-HG10の場合、ドライバユニット単体は良いものを使っているのだろうが、なにぶん小型なので音場の広がりが感じられない。ホテルの客室のような狭い空間であっても小型スピーカーが音を満たすには大きすぎる。スピーカーに正対して正座して聴く分には良い音だが、それはもっと大きなオーディオ製品の考え方である。音質を保ったまま単純に小型化するのは技術的には難しいが、ユーザーが求めているのはそういう製品ではない。

しかしSRS-HG10は単なるBluetoothスピーカーではない。LANにつないで高音質で音源を転送したり、Google Play Music等のストリーミング音楽を流したりできる、音声入力アシスタントの無いスマートスピーカーである。とりわけ、ハイレゾ音源に対応した数少ないスマートスピーカーである。そういう機能を使いこなせる人にとっては魅力的な製品なのではないか。

しかしMusic Centerという専用のスマホアプリを入れて操作しなければならない。ソニーは昔からハードウェア作りは得意だが、ソフトウェア作りは得意でないので、ソニー製の専用ソフトウェアが必要となると二の足を踏む。そういうわけで、ホテルで借りた状態では試すことができなかった。ホテルでの貸し出し用ならもっとシンプルな製品の方が向いているのではないか。自宅で使う分には問題ないが、旅行用に持ち出すとなるとホテルの無線LAN経由では難しいので、Bluetooth接続でしか使えそうにない(これは無線LANに接続するスマートスピーカー全般にいえることだが)。

ソニーに限らず日本のメーカーはハードウェアの技術者優位なので、「あれもできる」「これもできる」「それでいてそこそこの値段」→「だから競争力がある」という発想になりがちだが、どんなに立派な機能があってもユーザーが使いこなせなければ意味がない。スティーブ・ジョブズはソニーにあこがれてiPodやiPhoneを作ったが、ソニー製品の良いところを取り入れるだけでなく、悪い所を改善している。余計なものをこそぎ落とし、さほど知識の無いユーザーであっても簡単に使えるようにUIやソフトウェアが作り込まれている。

「携帯可能な小型スピーカーを持ちだす目的は何か」「そこでユーザーが求めるものは何か」「小型スピーカーに不足しているものは何か」「それを補うための手段としてどのようなものがあるか」といったことを考えて設計すればもっとシンプルな製品になるはずである。

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