AmazonのKindle等の電子ブックリーダーが日本で普及しないのは著作権団体の圧力のせいだというのは本当だろうか。たしかにそういう面もあるだろう。こういうビジネスはコンテンツが豊富でないと発展しないので、著作権フリーのコンテンツだけではあまり魅力がないかもしれない。 しかしそれ以上の要因として考えられるのは、日本の書籍の読みやすさである。洋書は紙質が悪いし、同じ大きさの字がびっしり詰まっており、全然読みやすくない。タイプライターで印字した紙の束をそのまま製本したような感じである。それに対して、日本の書籍は装丁が凝っており、フォントや段組みが読みやすいだけでなく、紙の質感をはじめとして、手に取ったときの感触も工夫されている。 洋書だったら電子ブックリーダーでも代用できるだろうし、本を紙の塊として通販で売るくらいだったら、データだけを売る方が効率的である。それに、本は結構場所を取るので電子化されている方が楽だし、 検索もしやすい。それにも関わらず電子ブックが普及しないのは、やはり本と比べて扱いにくいからだろう。結局決め手になるのは、読むときの扱いやすさである。そうはいっても、紙には紙の扱いやすさがあると同時に、電子媒体には電子媒体の扱いやすさがある。触って気持ちよければそれでよい。 そこでiPadなのだが、たしかに電子ブックリーダーとしてはよくできていそうである。いかにも痒い所に手が届きそうで、そういう意味では日本で受け入れられそうな感じである。しかし見れば見るほどでかいiPod touchに見える。枕元で使う分には便利かもしれないが、枕元専用マシンを買うくらいなら、モバイルノートPCをそのまま使う方が手軽である。それに、日本の通勤事情のもとで持ち出すには大きすぎる。理想的なのはポケットに入る文庫本サイズなのだが、それはiPod touchである。読み捨ての新書本だったらデータをダウンロードして、読み終わったら捨てればよいが、新書本は情報量が少ないので、iPod touchで十分だろう。 小さい画面で我慢できるならガラパゴスケータイで十分であり、ポケットに入るサイズならiPod touchである。大きい画面で見たいと思うのは漫画や譜面である。自動的に譜面をめくってくれるソフトがあったら便利だろう。たしかに雑誌も大画面の方が見やすいが、雑誌ならウェブ...