スキップしてメイン コンテンツに移動

通勤用新幹線を妄想する

E4系Maxは輸送力を確保するために全車2階建てだが、8両編成定員817人であり、E2系10両編成(定員814人)と同等の輸送力である。しかも、E4系の定員は、2階自由席を横6列にしたり、デッキに補助椅子を設置したりして得られたものであり、これらが無いと仮定すると定員が35人ほど減少する。この程度の輸送力増のために2階建てにしたため、多くを犠牲にしている。

まず、車体が大きくなり車体重量が大きくなっただけでなく、重心も高くなったので、営業最高速度が時速240kmしかない。次に、先頭車も2階建てなので、ノーズが長く、輸送力を損ねている。さらに、1階席からは景色が見えない。通勤用なら景色が見えなくても構わないが、現状ではE4系は仙台行きの「やまびこ」や新潟行きの「とき」の主力である。

通勤用新幹線と割り切るなら、わざわざ2階建てにしなくても輸送力を増やすことができるのではないだろうか。まず、グリーン車や指定席車を無くして、すべて普通車自由席にする。車内販売を行わないことを前提に、車販準備室を廃止する。次に、京浜急行2100形と同様のシートピッチ850mmの転換クロスシートにして、横6列にする。さらに、京阪特急のように、車体中央寄りに幅1mの片開き扉を2箇所に設置する。扉付近の気密性能を強化し、デッキを廃止する。短距離利用と割りきってトイレと洗面所の数を減らす。米国の近郊鉄道のようなレイアウトだと思えばわかりやすい。

トイレ無しの車両なら縦25列横6列で定員150人を確保できる。通常の新幹線車両の場合、トイレ無し車両で縦20列横5列で定員100人なので、わざわざ2階建てにするまでもなく、輸送力を1.5倍に増やすことができる。すなわち、通常の新幹線車両で混雑率150%になるような状況でも全員着席できる。通勤型新幹線8両で通常型新幹線10両分の輸送力を確保することなどたやすい。

2階建てでないので車体を軽くできるし、車両の大半を電動車にすることができるので編成出力を大きくできる。そのため、60Hzに対応していれば北陸新幹線に乗り入れることも難しくない。ピーク時に軽井沢までピストン運転すればピーク時の需要を捌くことができる。

このような車両で10編成程度作ると、ラッシュピーク時に東北新幹線、上越新幹線のそれぞれで16両編成の列車を2本づつ設定できる。日中は3本ほどが車庫で休み、残りは「なすの」と「たにがわ」とで3本づつ使えばよい。また、繁忙期の休日に臨時列車として走らせたり、通常型新幹線の8両編成に増結したりすればよい。増結する場合は全車普通車自由席であり、通常型新幹線の普通車は全車指定席にすればよい。さらに、修学旅行等の児童生徒の団体を乗せるという使い方もある。輸送力確保のための車両なのだから、そういう用途に限定して使う分には問題ない。現状のE4系みたいに中途半端に拠点間輸送にも使おうとするからおかしなことになる。

横6列はたしかに窮屈だが、閑散時なら3人がけの座席を2人で使用できるので、実は横4列の座席よりもゆったりしている。また、大人2人に子供1人が使う分にも問題ない。シートピッチが狭いのはいかんともしがたいが、京急2100形が特別に窮屈なわけでもない。JR東海313系のシートピッチは875mmだが、全く支障していない。これは、座席の形状を工夫して背もたれを薄くしたり、座席下のヒーターを小型化して足元の空間を広く取っているためである。少なくとも、バスよりは快適である。また、JR東日本の新幹線車両のシートピッチは980mmまたは910mmなので、実は大差ない。シートピッチが狭いと荷物を置く場所に困るが、それなら荷物棚の容量を増やせばよい。アムトラックの荷物棚など、小型のスーツケースが入るサイズである。

座席が狭くても車内で快適に過ごす方法は他にもある。まず、全席に電源を装備すべきである。スマートフォンやPCを使っていれば時間の経過を感じない。次に、トンネル内も含めて全区間で携帯電話を使えるようにすべきである。さらに、車内で眠りやすいよう、間接照明にして照明を暗めにして、代わりに読書灯を全席に装備するのもよい。静粛性を確保するため、内装壁を吸音材にするのもよいだろう。人の話し声は耳障りである。

特急だと思って乗ると通常型新幹線との格差が気になるが、通勤客はどのみち安い定期で乗っているのだから問題ない。着席できて在来線よりも快適ならそれでよい。実質的には特急というよりもむしろ急行なので、急行料金の設定があった方が親切かもしれない。もしくは、波動輸送で使うなら「トクだ値」のような列車限定の割引切符を発売することで実質料金を引き下げるという方法もある。定員が1.5倍ということは、通常の半分程度の運賃料金でも採算が取れるということである。通常の半値なら高速バス並の運賃料金となり、所要時間の違いを考えればツアーバスに対しても競争力がある。

このブログの人気の投稿

中野駅配線改良案

【現状での課題】 発着番線がバラバラでわかりにくい。 緩行線新宿方面行きは2番線または5番線発。三鷹方面へは1番線発、3番線発、または6番線発。東西線は4番線または5番線発。次の列車の発着番線を階段下の電光掲示板でいちいち確認しなければならない。 対面乗り換えができない。 緩行線と快速との対面乗り換えができないばかりでなく、緩行線と東西線との対面乗り換えもできない。緩行線中野止まりの列車から三鷹方面への乗り換えは2番線から3番線への移動が必要。東西線中野止まりの列車から三鷹方面への乗り換えは4番線から1番線への移動が必要。緩行線上りから東西線への乗り換えは5番線から4番線への移動が必要。緩行線上り東西線直通列車から緩行線上り新宿方面への乗り換えは5番線から2番線への移動が必要。すべて階段の昇り降りが伴う。 中野駅での乗り換えの不便さから派生する杉並三駅問題。 高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪から新宿方面に行く場合、中野駅で快速に乗り換えるのも、東西線直通列車から緩行線に乗り換えるのも不便であり、新宿志向の強いこれらの駅で快速が通過すると極めて不便になる。そのため、快速列車がこれらの駅に停車せざるをえなくなり、快速の所要時間が増大し、遠方からの旅客の負担になっているのに加え、特別快速や特急のダイヤも制約される。 【背景】 緩行線の車庫の存在。 大正時代に両国から中野までの線路が建設されて以来、中野が総武線からの乗り入れ列車の終点であり、車庫も中野にあった。現在は検修機能は三鷹に集約されているものの、留置線は引き続き使用されている。なお、三鷹の車庫はもともとは快速線用として建設されたもので、豊田に快速線の車庫ができた際に緩行線の車庫になった。 総武線側と中央線側の旅客数の違い。 比較的混雑する総武線側は列車本数が多く、しかも都心側で折り返し可能な駅が中野と三鷹しかない。一方、中央線側は乗客数が少ないため、輸送力を調整する必要がある。現状では中野を境に輸送力に大きな差をつけているが、緩行線の利便性を向上して乗客数を増やせば中野での折り返しが必要なくなる。 東西線と緩行線の両方に中野駅折り返し列車が存在する。 そのため、緩行線の2面3線のホームが東西線の島式ホームを挟み込む形になっている。2番線は主に中野での折り返し列車向けに使われているが、車庫への入出庫用

iTunesの「空き領域へ曲を自動的にコピー」機能

音楽再生環境をiPhoneに移した。電話を着信した際に、即座に通話できるようにするためである。しかしこのiPhoneはメモリ容量が16GBしかない。64GBあれば手持ちの音楽ライブラリのほぼすべてを入れることができるのだが、そもそも電話として導入されているものなので贅沢は言えない。Android端末だとmicroSDカードを挿して容量を増やすことができて、今なら128GBのmicroSDXCカードが4000円くらいで買えるのだが、iPhoneやiPodだと内蔵されている容量しか使えない。 どのみち64GB分に音楽ライブラリがあったって全部聴くにはまるまる21日かかるのだから、一度に全部を持ち歩く必要もない。それに、普段シャッフル再生ばかりなので、その日に聴く分だけランダムにコピーされていれば十分である。幸い、iTunes上で同期する際には「空き領域へ曲ど自動的にコピーする」というオプションがあり、これを有効にしておくと、その名の通りiTunes側で適当に曲を見繕って入れてくれる。これはもともとiPod shuffle向けの機能だったのだが、iPod shuffleに限らず音楽ライブラリのサイズに比べて音楽プレイヤーのメモリ容量が不足する場合には便利な機能である。 それだけだと「そういう機能がありますよ」という紹介でしかないのだが、しかし、少し調べてみた限りでは、iTunesがどうやって曲を選んでいるのかよくわからない。どうせシャッフル再生するので、同期するたびにランダムに選んでくれれば十分なのだが、コピーされた曲を見てみると、ある程度アルバム単位でまとめてコピーしているように見える。また、同期するたびに再生済の曲を削除して別の曲を代わりに入れてくれるとありがたいのだが、そうなっているようにも見えない。だとすると時折曲を入れ替える必要があるかもしれない。 できれば、特定のジャンルの中から、あるいはチェックマークをつけたアーティストやアルバムの中から容量に合わせてコピーするとかできればよいのだが、今のところそういう機能は無いようである。

東横INNレンタカーサービスを利用してみた

東横イン では、 タイムズカーレンタル (旧マツダレンタカー)と提携して、 宿泊客向けに安価にレンタカーを提供するサービス を実施している。コンパクトカー(デミオ)が24時間5460円(税込、免責補償込)で利用できるだけでなく、東横インの駐車場を無料で利用できたり(大半の東横インの駐車場は有料である)、ホテルまで配車してもらえたりする。ちなみに ルートイン と オリックスレンタカー が提携して 同様のサービス を提供しているが、駐車場無料や配車サービスは含まれていない。また、東横INNレンタカーサービスに比べて少しだけ高い。 東横INNレンタカーサービスを利用するには、まず東横インに宿泊予約をした上で、東横INNレンタカーサービス専用の電話番号に電話してレンタカーの予約をする。その際、東横インの予約番号を尋ねられるが、楽天トラベル等の他のサイトを経由して予約するのでも問題ない。予約情報は予約センターから宿泊先の東横インにFAX(電子メールではないらしい)で送信され、駐車場が必要な場合には駐車場の予約もなされるようだが、念のため駐車場の予約状況については東横インに直接確認してほしいと言われる。予約が完了すると7桁の予約番号をもらうので、変更やキャンセルの場合にはこの予約番号を告げる。 24時間をどう配分するかについては選択の余地がある。早朝に出発するなら前日夕方から借りると便利である。反対に、夕方の帰着がレンタカーの営業時間後である場合や帰着が遅れる可能性がある場合には、翌朝まで借りておけば安全だろう。1泊して空港から往復するなら、正午から翌日正午までといったような借り方が便利だろう。空港からの往復で利用するなら、大人2人なら空港リムジンバスで市内に往復するのと同じくらいの値段だし、デミオだと狭いが無理して3人とか4人で乗ればバスよりも安い。 デミオは後部座席と荷物室が狭いので、大人4人で乗るのは難しいが、どのみち安いので2台借りて2人づつ分乗するか、あるいはもっと大きなサイズの車を借りるかした方がよいだろう。デミオクラス以外の車を借りるときには基本料金から15%割引である。ただしこの程度だったら他社とあまり変わりなかったりする。 東横インにチェックインしたときに東横INNレンタカーサービスを利用している旨は伝わっていた。駐車場の予約情報が伝わっている