どういうわけか、NetWalker PC-Z1をいただいた。NetWalkerは、5インチのディスプレイとキーボードを備えたUbuntu端末である。Ubuntu 9.04をシャープがカスタマイズしたOSが入っている。2009年9月に発売されて以来、1年半経過しているので、OSやソフトウェアのバージョンは今となっては古い。特に標準のウェブブラウザであるFirefoxのバージョンが古くて動作が重たいのはいただけない。
USB端子が1個とミニUSB端子が1個がついているので、USB接続のデータ通信機器やイーサネットアダブタを接続してネットワークに接続できる他、無線LANも使える。無線LANの接続はUbuntuの標準的な方法なので実に簡単である。
CPUはARMなのでPC版のUbuntuをそのまま入れるわけには行かないが、Ubuntuでできることは大抵できる。
せっかくなので、ひと通り使える状態にしてみた。まず、Ubuntuのパッケージの更新を行う。150MBほどダウンロードした。できればOSのバージョンも9.04ではなく11.04にしたいところだったが、これはハードルが高くすぐにはできないので、今のところは9.04のままである。大幅に手を入れるためにはリカバリーメディアの作成が必要なのだが、リカバリーメディアのサイズが1GBあり、しかもNetWalkerからしかダウンロードできないため、しかるべきネットワーク環境のもとでないとダウンロードできない。
すぐにできる範囲での改善はGoogle ChromeのベースになっているChromiumブラウザを入れることである。標準のOSではサポートされていないが、NetWalker向けのパッケージを提供している方がいらっしゃるので、そこからダウンロードしてインストールしたところ、一気に動作が軽快になった。2011年4月29日現在のChromiumのバージョンは11であり、これは先日リリースされたばかりの最新版である。
今はクラウドの時代なので、母艦とのデータの同期を気にすることなく、ネットワークに接続してウェブブラウザを立ち上げれば母艦と同じデータにアクセスできる。
といわけで、とりあえずネット端末にするところまではできた。しかし、キーボードやポインティングデバイスの使い勝手は中途半端である。ソフトウェアキーボードよりはましかもしれないが、タッチタイピングできる代物ではないし、カーソルを合わせるのが難しい。今ではiPhoneやiPadがあるので、それらのデバイスの秀逸さが際立つ。NetWalkerは、画面の大きさはiPhone並、重さはiPad並である。大きさやキーボードの使い勝手からすると、iPadと競合する製品である。
立ち上がりが早くバッテリーが10時間持続するのは、PCに比べれば立派だが、iPadでも全く同様であり、しかもスイッチを入れるだけですぐに立ち上がる。
iPadにできないのは、Google Chromeを使うことである。しかし、Androidのタブレット端末ならばiPadに準じた使い勝手でGoogle Chromeを使うことができる。シャープはNetWalkerに準じたAndroidのスマートフォンをAUのIS-01として出したが、あまり売れなかったようである。シャープはその後、タブレット端末であるGALAPAGOSやタッチパネル式のスマートフォンを出している。
1年半の間に随分世の中が変わったようである。