第一印象はやはり薄くて軽い。また、背面が色付きのアルミになったので、iPhoneの廉価版というよりもむしろiPodらしい雰囲気になった。薄くて軽いのはありがたいのだが、もう少し厚く重くなってもよいのでバッテリー容量を増やしてほしかった。しばらく使っていてバッテリーが劣化してきてもバッテリーが1日持つようにしてほしい。また、容量は64GBのままだが、手持ちの音楽をすべて格納するとなるとやはり128GBモデルもほしかった。
画面は縦方向の長さが長くなったものの、UIが同じなので、単独で操作している分にはいままでとあまり変わらない印象である。ただ、画面上に配置できるアイコンの数が増えたので、より少ないページ数でアイコンを表示できるようになった。両手で操作する分には全く問題ないが、片手で操作しようとすると、たしかに上の方に手が届きにくい。本体を持つ位置をすこしずらせば届くのだが、そうすると本体を落とすリスクが高くなる。今回ストラップ(ループ)が付属するようになったのが、もしかしたら、そのような落下のリスクに対応するためなのかもしれない。ストラップは本体から飛び出るフックに引っ掛ける方式だが、意外とはずれにくい。シンプルながらよくできている。
CPUが強化され、RAMが倍増したため、動作は軽快になった。第4世代iPod touchでBluetoothキーボードを用いて日本語を入力しようとすると、仮名漢字変換が滞って実用に堪えなかったのだが、第5世代iPod touchではそんなことはなく、PCと同様にキーボードで日本語入力をできる。文字入力に関してはだいぶ改善された。
付属のイヤホンは大幅に改善している。今までの付属のイヤホンは音がスカスカで、付属させていた意味が全く理解できなかったのだが、今度のは音がちゃんと聞こえる。前評判は聞いていたものの、どうせ付属のイヤホンだからと思ってあまり期待していなかったのだが、実際に音楽を聴いてみると期待以上だった。高級品とは比べるべくもないが、それでもそういうこだわりの無い人が普通に使う分には問題ないのではないか。ただし開放型なので電車の中など騒音の大きい環境では聞き取りにくいかもしれない。残念ながらiPod touchに付属のイヤホンにはリモコンがついていない。リモコンはとても便利で、特に今度のiPod touchからはSiriにも対応したのでマイクを使う機会も発生したのだから、リモコンがついていてもよいと思うのだが。
カメラの性能が良くなり、一昔前の携帯電話くらいの性能になった。第4世代iPod touchだとメモ程度にしか使えなかったのでカメラを使う気にならなかったのだが、今度のiPod touchのカメラなら出番があるかもしれない。もちろんデジカメの方が画質が良いのだが、iPod touchの場合、撮った写真をそのままiOSデバイスで管理でき、自動で同期できるので、撮った後の扱いが楽である。
今度のiPod touchからSiriに対応したので試しに少し使ってみた。質問に対して的確な回答が来たのは立派だが、日本語の発音はいまいち。今後さらに改良されるのだろうか。音声入力はきちんと認識されれば文字入力よりも早くて簡単だが、人前で話すのは恥ずかしそうである。
背面がステンレスからアルミになったおかげで、本体は無線LANのアンテナの部分を除いて全く熱を帯びない。無線LANのアンテナ部分は手で持ったときに触れない場所なので(本体が縦長なので手が届かない)、普通に使っている限りは熱は気にならない。
残念ながら、無線LANは一定時間が経過すると接続が切れてしまう。省電力のためにそういう仕様になっているのかもしれないが、必要としているときにすぐに使えないのは不便である。データ通信をせずに接続を確保しているだけならさほどバッテリーを消費しないので、せめて無線LANの接続の持続する時間を設定できるようにしてほしかった。
全般的に使い勝手は上々なのだが、現時点での問題はLightning対応のアクセサリが存在しないことである。Apple Universal Dockとは互換性が無いし、今までの30ピンコネクタを前提とした周辺機器は全く使えない。特にiPod対応のオーディオ製品は全く使えない。今まで使ってきた第4世代iPod touchを音楽再生専用として使うことにしている。
旧モデルに比べて大幅に改善しており、たとえ少々安くなったとしても旧モデルを買う意味を見いだせない。Lightning対応アクセサリはいずれ出てくるだろうから、これから買うなら新モデルを買った方が良いだろう。