普通鉄道の規格は年々高規格化している。新設鉄道では踏切の設置が認められないといった土木に関する規格の向上とか、ATSの機能要件の追加といった保安設備の規格向上である。在来線といえども時速130km運転をしていたり、2分間隔の高密度運転をしていれば、安全に関する要求水準が高くなるのは当然のことである。踏切の中に取り残されたまま時速130kmの電車が接近したらまず助からないし、ヒューマンエラーで曲線通過速度が大幅に超過したら大惨事になる。正面衝突はおろか追突であっても大事故になる。側線の車両が本線にはみ出して通過列車と接触しても大事故になる。混雑するホームから乗客が転落したら助からないので、ホームドアも必要だろう。一部車両がホームからはみ出して停車してドアカットするのも、万一車内で火災が発生したら脱出できずに多数の死傷者を出すことになる。普通鉄道といえども、蒸気機関車が時速40km程度で走っていた時代と比べればかなり高規格化している。
その一方で、JRのローカル線や地方私鉄では車両も地上設備も昔のままである。昔と変わらず時速40km程度で走っている路線で踏切を全廃するのは現実的でないし、いざとなったらすぐに停止できる程度の速度で走っているなら目視でもある程度対応できる。普通鉄道とは違うが併用軌道上の路面電車は自動車と同様に目視確認である。低速で運転している限り、遠目に見てレールが波打っているくらい軌道の精度が低くても安全には問題ない。通過列車が無ければ構内踏切があっても安全上問題ない。そのような路線でJRの幹線や大手私鉄と同等のレベルを要求したら費用がかかりすぎて、路線や会社そのものが無くなってしまう。現状の法運用ですら鉄道では保安設備の負担が大きくてローカル線が次第に廃止されているのだから、幹線鉄道に合わせてルールを強化していったらいずれ地方私鉄は全滅しかねない。
しかし法律は規格の高い側に合わせて作らなければならないので、低規格のローカル線では特例ばかりになる。しかし特例で認めるというのは裁量行政である。法律は一定の制度趣旨に即して制定されるので、制度趣旨を尊重しないのは問題だし、法律が制度趣旨に合致しないなら、法律を改めるべきだろう。特に安全基準は一定の科学的根拠に基いて策定されるものなので、それならば、低規格の路線であっても一定の科学的根拠に基づく明文化されたルールが必要だろう。本来ならばそれぞれの実態を踏まえて、それぞれにふさわしいルールがあるべきだろう。そこで、普通鉄道のスコープはJRの幹線や大手私鉄とし、JRのローカル線や地方私鉄には別途新しい軽便鉄道規格を制定するのである。
軽便鉄道規格制定に際しては、公共交通の維持という観点から、安全上問題ない範囲でスペックダウンを図り、事業者の負担の軽減を図るべきだろう。既に軌道という規格が存在するが、これは道路上に敷設された併用軌道を想定したものであり(自動車よりも路面電車の方が歴史が古い)、道路交通行政を担う警察の管轄である。しかし規格が低くて維持費が安いことから、併用軌道を持たない鉄道会社であっても軌道扱いにしているケースがある。このような制度趣旨から逸脱した運用は脱法行為であり、そのような低規格の路線の受皿としても新しい軽便鉄道規格は必要だろう。
軽便鉄道規格は、最初は現状を追認する形でスタートすることになるだろうが、ゆくゆくはLRT化を目指すものであってほしい。安全上の装備の負担を軽減することを生じた余裕を原資に利便性向上を図るのである。さらに上下分離や公的補助を容易にする仕組とか、ノンステップ車両導入の推進とか、車内への自転車の持ち込みといった普通鉄道に無い軽便鉄道ならではの仕組があってもよいだろう。想定するものが明確であればその分ルールを作りやすいし、解釈運用もやりやすい。
その一方で、JRのローカル線や地方私鉄では車両も地上設備も昔のままである。昔と変わらず時速40km程度で走っている路線で踏切を全廃するのは現実的でないし、いざとなったらすぐに停止できる程度の速度で走っているなら目視でもある程度対応できる。普通鉄道とは違うが併用軌道上の路面電車は自動車と同様に目視確認である。低速で運転している限り、遠目に見てレールが波打っているくらい軌道の精度が低くても安全には問題ない。通過列車が無ければ構内踏切があっても安全上問題ない。そのような路線でJRの幹線や大手私鉄と同等のレベルを要求したら費用がかかりすぎて、路線や会社そのものが無くなってしまう。現状の法運用ですら鉄道では保安設備の負担が大きくてローカル線が次第に廃止されているのだから、幹線鉄道に合わせてルールを強化していったらいずれ地方私鉄は全滅しかねない。
しかし法律は規格の高い側に合わせて作らなければならないので、低規格のローカル線では特例ばかりになる。しかし特例で認めるというのは裁量行政である。法律は一定の制度趣旨に即して制定されるので、制度趣旨を尊重しないのは問題だし、法律が制度趣旨に合致しないなら、法律を改めるべきだろう。特に安全基準は一定の科学的根拠に基いて策定されるものなので、それならば、低規格の路線であっても一定の科学的根拠に基づく明文化されたルールが必要だろう。本来ならばそれぞれの実態を踏まえて、それぞれにふさわしいルールがあるべきだろう。そこで、普通鉄道のスコープはJRの幹線や大手私鉄とし、JRのローカル線や地方私鉄には別途新しい軽便鉄道規格を制定するのである。
軽便鉄道規格制定に際しては、公共交通の維持という観点から、安全上問題ない範囲でスペックダウンを図り、事業者の負担の軽減を図るべきだろう。既に軌道という規格が存在するが、これは道路上に敷設された併用軌道を想定したものであり(自動車よりも路面電車の方が歴史が古い)、道路交通行政を担う警察の管轄である。しかし規格が低くて維持費が安いことから、併用軌道を持たない鉄道会社であっても軌道扱いにしているケースがある。このような制度趣旨から逸脱した運用は脱法行為であり、そのような低規格の路線の受皿としても新しい軽便鉄道規格は必要だろう。
軽便鉄道規格は、最初は現状を追認する形でスタートすることになるだろうが、ゆくゆくはLRT化を目指すものであってほしい。安全上の装備の負担を軽減することを生じた余裕を原資に利便性向上を図るのである。さらに上下分離や公的補助を容易にする仕組とか、ノンステップ車両導入の推進とか、車内への自転車の持ち込みといった普通鉄道に無い軽便鉄道ならではの仕組があってもよいだろう。想定するものが明確であればその分ルールを作りやすいし、解釈運用もやりやすい。