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超訳This is a pen.

中学英語の最初に出てくる文は、
"This is a pen."
"Is this a pen?"
"Yes, it is."
というものだが、これは統語論的には間違っていないものの、意味論的には謎が多い。通常の脈絡で考える限り意味不明である。目の前でペンを見せて「これはペンです」なんて言ったら会話としておかしい。一体どんな脈絡だったら意味をなすのだろうか。

「おい、これ見てみろよ。」
後ろからつんつんされながら声をかけられた。面倒だったので振り向かずにとりあえず聞いてみた。
「これって何だよ。」
「まあいいから、とにかくこれを見てみろって。」
しぶしぶ振り向くと、手のひらに子猫が乗っかていた。なんだかかわいい。猫はかわいいけど、そういう風に勿体ぶって見せられるのは気に食わない。
「猫がどうかしたのかよ。」
「これ、何だと思う?」
どう見ても猫にしか見えない。こいつ何言ってんだ。まあとりあえず話に付き合ってやろうか。
「どう見ても猫だろ。猫じゃなかったら一体何なんだよ。」
「こいつはな、実はペンなんだよ。」
はあ?こいつ、変なクスリでもキメて頭がイカれたんだろうか。しかし一体何のクスリをキメたらこんな風になるんだ。それを考えだすとキリがないので、とりあえず目先の疑問から解決することにした。
「これがペンだって?」
そう言いながら脳内で3回「バーカバーカバーカ」と繰り返した。
「そうよ。」
そうよと言われたって、やはりどう見ても猫にしか見えない。敢えてそういうことを言うことからして、何らかの意図がありそうだが、それが何の意図だか考えるのは面倒なので、とりあえず常識的な質問を返した。
「それのどこがペンなんだよ。もしそれがペンだとしたらどうやって文字を書くんだよ。」
その質問を待ち構えていたかのように、平然と言い放った。
「じゃあ、紙出しな。」
あまりきれいな紙を出すのも勿体なかったので、手元にあったコピーの裏紙を渡した。というか、そういうつもりだったら最初から紙くらい自分で準備しろ。
おもむろに紙の上に猫を置く。ふにふにしながら動かしていると、そこに文字が浮かび上がってきた。ペンの定義を思い起こすと、こいつは確かに国語的にはペンだ。こうして実演されると、目の前にあるものをさすがにペンと認めざるをえない。よく考えてみれば、ペンが007に出てくるペン型爆弾みたいな形をしていなければならない理由もあるまい。
「こいつはすげえペンだな。」
素直に感心した。
「これが日本のハイテクってもんだ。」
「とんでもなくクールだな。フジヤマゲイシャハラキリどころの騒ぎじゃないぜ。でもそんなもん作ってどうするつもりなんだ。」
「これからはカワイイの時代だ。ペンだって例外じゃない。」
「たしかにかわいいけどさ、でもこれって全然実用的じゃないだろ。そもそもどうやって持ち運ぶんだよ。」
「こう。」
「それじゃ両手が塞がるだろ。」
「じゃあこう。」
肩の上に乗せるとはいいアイディアだ。
「しかしそんな面倒な形にして一体何のメリットがあるんだよ。」
「和む。仕事がはかどる。ひいては金が儲かる。」
「それはいいとして、どこからそんな突拍子もないアイディアが出てくるんだよ。」
「それはだな。机の上で書き物をしていると、猫が乗っかってくるだろ。」
「たしかに。どういうわけか書き物をしているときに限って乗っかってくるよな。」
「邪魔だろ。」
「すごく邪魔だけど。」
で、一体何の話をしているんだ。
「そこで発想を切り替えるんだ。もしその猫が動くことで、自分が書きたい文字を書けたら一石二鳥だろ。皆がハッピーになるだろ。ラブアンドピースだろ。」
そう言われるとなんだかそんなような気がしてくる。しかし一体何のクスリをキメているんだ。まあいいや。
「猫が乗っかるだろ、そして机の上を動くだろ、そして文字が出てくる。これが実現するためには何が必要か。」
「たしかにその流れだったら猫がそのままペンになるのが一番素直だな。でもそれって鰻と犬が合体するみたいでなんだか無理がないか?」
「テレビとナノイーとが合体するくらいだから何でもありなんだよ。ロボットだって合体するだろ。合体するのがクールジャパンってもんだ。」
「腐女子の手にかかれば何でも攻めと受けに見えるみたいなあれか?」
「そうだよ。その例だとテレビが受けでナノイーが攻めだな。」
「お前、そんなこと考えているのか?変態だな。」
「男性名詞とか女性名詞とか考えている奴だって変態だろ。しかもありとあらゆるものを男性名詞と女性名詞と中性名詞のどれかに分類しているんだぜ。世の中に一体名詞がいくつあると思ってるんだ。『どらやきはどらやき君だから男性名詞♡』みたいなことをいちいち妄想してるんだぜ。しかも全部だぜ。」
「そいつはかなり変態だな。コーヒーが男性名詞で紅茶が女性名詞だから、だったらコーヒーと紅茶がヤルんだよな。どうやってヤルんだか想像がつかないけど。」
「とりあえずコーヒーから白い液が出てくるところまではわかる。」
「でもイギリスじゃ紅茶にも白い液があるぜ。」
「ホモだからな。」
「アッー!(Oh, my God!)」

という風に考えながら中学英語の教科書の行間を読むと、異次元の世界に誘われたようで、退屈している暇が無い。

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