かれこれ10数年Evernoteを使ってきたが、Evernoteは年々扱いにくくなっているのでだいぶ前から移行先を探していて、OneNoteやNotionを試してみたが、使い勝手に満足できず、移行できずにいた。先日インターネットの通じない環境でメモを取りたくなってふとiOS上のメモアプリを開いてみたところ、Windowsの「メモ帳」と異なり、Evernoteと類似のUIになっていた。AppleなのでiCloud経由で同期でき、様々なデバイスから読み書きできる。Evernoteは何でも記録できることを目指しているためか年々機能が肥大化しているが、テキストでメモを作成するのが目的なのでそんな複雑なものよりもシンプルな方がよい。最近はMacにiPadにiPhoneと身の回りの環境がApple製品ばかりになったので、Appleのクラウドサービス・アプリを使いやすい状況にある。唯一面倒なのはWindowsからのアクセスだが、これはウェブブラウザ上でiCloud.comにアクセスし、メモ帳を開けば、ウェブブラウザ上でEvernoteを使うのと同じ使い勝手で使うことができる。
Evernote上のメモが大量に貯まっているので、データの移行には手間がかかった。Evernoteのアプリ上で、エクスポートしたいメモを選び(複数選べる)、から「ファイル」「データのエクスポート」を選び、ファイル名を指定して保存する。このとき、同時に100個のメモまでしか選べないので、大量のメモを移行するためには100個ごとに移行作業が必要である。Evernoteの仕様なのだが、他のサービスへの移行を妨げるためにわざとそうしているのだろうか。
Mac上の「メモ」を開き「ファイル」「"メモ"に読み込む」を選び、エクスポートしたファイルを読み込むと、「メモ」上で表示される。あとはEvernoteのように使うだけである。
意外な機能として、Googleアカウントでメモを作成すると、Gmail上で自分が作成したメールとしてメモが保存される。Gmailのドラフトをオフラインで作成したいときに便利そうである。ただし、更新の都度Gmailのメッセージが追加されるので、1つのメモを更新し続ける用途には向かず、あくまでもオフラインでGmailのドラフトを作る用途に限定される。
「メモ」を使ううえで気がかりなのはiCloudの容量である。iCloudで無料で使えるのは5GBまでだが、iPhoneとiPadのバックアップや写真データのサイズが大きく、容量を圧迫している。テキストデータならサイズが大きくないので全体への影響は軽微だろうが。
移行当初はメモの数が多かったので同期が完了するまで時間がかかったが、移行したメモの同期が一段落してからは、あるデバイスでメモを更新するとほどなく他のデバイスでも更新が反映されるようになった。しかしそれでもEvernoteほど更新の反映が早くない。その部分ではEvernoteはいろいろ努力していたのだろう。
Evernoteでは同期可能な端末は2台までで、その2台以外でEvernoteを使うためにはウェブブラウザ上で開く必要があった。ウェブブラウザ上のはオンライン環境でしか更新されないのでオフライン時に更新できなかったが、AppleのメモはAppleのデバイス上ではすべてアプリで編集可能で、唯一Windowsからアクセスするときのみウェブブラウザからのアクセスなので、オフラインでの編集が容易になった。