GL09Pの短所ばかりあげつらうのもフェアではないので、長所を挙げる。
1. バッテリー容量が大きい
大容量モバイルバッテリーの低価格化と並行してPocket WiFiのバッテリー容量は年々増加しており、GL09Pではついに5000mAhに達した。LTEになって消費電力が増えたためかと思いきや、イーモバイルのパンフレットによると「タブレット端末と同じだけバッテリーが持つ」とある。どうやらタブレット端末のバッテリー持続時間の長さに影響されているようである。タブレット端末の走りであるiPadが最初から大容量のバッテリーを搭載してくれた恩恵がこんな所にも行き渡っている。
実際のバッテリーの減り方はどうかというと、地下で圏外の所にいると急激にバッテリーが減る。それでも4時間で20%(20%といえども1000mAhなのでものすごい減り方である)くらいのペースだったので、最悪の条件のもとでも1日中バッテリーが持つと言ってよいだろう。
2. 他の携帯機器に給電できる
バッテリー容量が大きいことから、他の携帯機器にも給電できる仕様になっている。せっかくGL09Pのバッテリー容量が潤沢であっても、肝心のスマホ側でバッテリーが無くなってしまったらGL09Pのバッテリーは意味をなさない。普通の使い方をしている限りGL09Pのバッテリーは1日では使い切れないだろうから、余った分を他の携帯機器に給電できるようになっている。少なくとも、iPod nanoのような電力消費の少ない機器に充電するなら楽勝だろう。
内部のからくりを想像するに、おそらく汎用のモバイルバッテリーが内蔵されているのではないか。典型的な大容量モバイルバッテリーには受電用のmicroUSBの口が1つと、給電用のUSBの口が2つある。給電用のUSBの口のうち1つはGL09Pへの給電に使われており、もう1つが余っているので他の携帯機器への給電に充当しているのではないか。汎用品を調達することで調達コストを下げ、かつ汎用のモバイルバッテリーの機能を最大限に活用しているのではないか。
おかげで外出時にモバイルバッテリーを持ち運ぶ必要が無くなったので、荷物が軽くなった。また、モバイルバッテリーを使う都度充電しなおす手間も無くなった。
もしこの機能が有用であれば今後発売される他の端末にも展開されるかもしれない。
3. 無線LANで5GHz帯も使える
せっかく回線速度が速くても無線LANの速度で制約されては勿体無い。2.4GHz帯は電子レンジの電磁波の周波数やワイヤレスヘッドホンの周波数と同じなので、近くで電子レンジが動作するとたちどころに通信が途絶する。5GHz帯なら電子レンジの影響を受けないし、周囲の無線LANでもあまり使われていないので通信が干渉しにくい。
最新のAirMac Expressのように2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドに対応していればさらに高速化するのだが、GL09Pの仕様には明記されていないので確認できない。
4. データ通信量が可視化されている
端末上でもスマホ用の設定画面でも当月のデータ通信量を見ることができる。従来はMy Emobileにログインして請求情報を照会するか、あるいは設定画面で表示される累積データ通信量を毎月1日に手動でリセットするしかなかったので、いずれにせよかなりの手間であり実用的でなかった。それに比べれば大いに進歩しているが、この機種から月間のデータ通信料規制が導入されるのだから、これくらいはあってくれないと困る。
2013年12月までは暫定的にB回線のみのデータ通信量に基いて規制が行われているので、端末や設定画面に表示されるA回線込のデータ通信量とは一致しないが、2014年1月以降なら問題ないし、それに2014年1月以降にも困らないように予めA回線込のデータ通信量を把握しておいた方がよいだろう。
5. ファームウェアの更新が本体から直接可能
従来はPCにファームウェアのファイルをダウンロードして、端末をPCに接続してファームウェアを更新する必要があった。GL09Pでは携帯電話と同様に本体に直接ファームウェアをダウンロードしてそのままファームウェアを更新できるようになった。これならPCを持っていなくてもファームウェアを更新できるので、スマホやタブレットしか持っていない人でも問題ない。
6. 今後端末を安価に入手できる可能性
既に買ってしまった人には関係ないが、発売初日からイーモバイルショップで一括15800円のプロモーションがあったりして、豊富な機能をアピールしていながら実勢価格は高くない。人気が出なければさらに投げ売りされる可能性があり、十分に安ければ短所に目をつぶる気にもなるかもしれない。
イーモバイルは伝統的にHuawei製の汎用機にほとんど手を加えずに発売してきたのでさほど大量に発注しなくてもスケールメリットのおかげで安価に調達することができた、しかしGL09Pは完全に日本独自仕様であり、特にチップは独自設計だろうから、ある程度安く調達するためには大量に発注をかけなければならない。既に大量に製造されてしまったということは、その端末はいずれどこかに行き渡るということである。すなわち投げ売りである。安く調達したいならもうしばらく待ってみるとよいかもしれない。
このように長所を列挙してみると、GL09Pがアピールしているマルチネットワークとは全然関係ないものばかりだったりする。GL09Pで初めて実装されたという点では明らかにGL09Pの長所であり、日本独自仕様ということもあって設計でがんばったことが見て取れる。従来のイーモバイルには日本独自仕様で設計する動機が乏しくおそらく知見の蓄積も無かっただろうが、ソフトバンクが仕様策定に関与するようになって、日本市場で求められているものを実装できるようになったのではないだろうか。
マルチネットワークそのものが長所になりえない理由は、ひとえにソフトバンク回線の速度の遅さによるものであり、回線速度を向上するか回線選択のロジックを改善するかしないと長所になりえない。現状では回線選択の優先順位が決め打ちなので、実際には速度の遅い回線が優先的に選択され、速度面ではむしろ改悪される場合が多々ある。回線速度そのものを向上するには多大な投資が必要なので、せめて回線選択のロジックが改善されることを期待したい。幸い、本体から直接ファームウェアの更新をできる仕様なので、回線選択のロジックが改善したら新しいファームウェアを配布すればよい。
1. バッテリー容量が大きい
大容量モバイルバッテリーの低価格化と並行してPocket WiFiのバッテリー容量は年々増加しており、GL09Pではついに5000mAhに達した。LTEになって消費電力が増えたためかと思いきや、イーモバイルのパンフレットによると「タブレット端末と同じだけバッテリーが持つ」とある。どうやらタブレット端末のバッテリー持続時間の長さに影響されているようである。タブレット端末の走りであるiPadが最初から大容量のバッテリーを搭載してくれた恩恵がこんな所にも行き渡っている。
実際のバッテリーの減り方はどうかというと、地下で圏外の所にいると急激にバッテリーが減る。それでも4時間で20%(20%といえども1000mAhなのでものすごい減り方である)くらいのペースだったので、最悪の条件のもとでも1日中バッテリーが持つと言ってよいだろう。
2. 他の携帯機器に給電できる
バッテリー容量が大きいことから、他の携帯機器にも給電できる仕様になっている。せっかくGL09Pのバッテリー容量が潤沢であっても、肝心のスマホ側でバッテリーが無くなってしまったらGL09Pのバッテリーは意味をなさない。普通の使い方をしている限りGL09Pのバッテリーは1日では使い切れないだろうから、余った分を他の携帯機器に給電できるようになっている。少なくとも、iPod nanoのような電力消費の少ない機器に充電するなら楽勝だろう。
内部のからくりを想像するに、おそらく汎用のモバイルバッテリーが内蔵されているのではないか。典型的な大容量モバイルバッテリーには受電用のmicroUSBの口が1つと、給電用のUSBの口が2つある。給電用のUSBの口のうち1つはGL09Pへの給電に使われており、もう1つが余っているので他の携帯機器への給電に充当しているのではないか。汎用品を調達することで調達コストを下げ、かつ汎用のモバイルバッテリーの機能を最大限に活用しているのではないか。
おかげで外出時にモバイルバッテリーを持ち運ぶ必要が無くなったので、荷物が軽くなった。また、モバイルバッテリーを使う都度充電しなおす手間も無くなった。
もしこの機能が有用であれば今後発売される他の端末にも展開されるかもしれない。
3. 無線LANで5GHz帯も使える
せっかく回線速度が速くても無線LANの速度で制約されては勿体無い。2.4GHz帯は電子レンジの電磁波の周波数やワイヤレスヘッドホンの周波数と同じなので、近くで電子レンジが動作するとたちどころに通信が途絶する。5GHz帯なら電子レンジの影響を受けないし、周囲の無線LANでもあまり使われていないので通信が干渉しにくい。
最新のAirMac Expressのように2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドに対応していればさらに高速化するのだが、GL09Pの仕様には明記されていないので確認できない。
4. データ通信量が可視化されている
端末上でもスマホ用の設定画面でも当月のデータ通信量を見ることができる。従来はMy Emobileにログインして請求情報を照会するか、あるいは設定画面で表示される累積データ通信量を毎月1日に手動でリセットするしかなかったので、いずれにせよかなりの手間であり実用的でなかった。それに比べれば大いに進歩しているが、この機種から月間のデータ通信料規制が導入されるのだから、これくらいはあってくれないと困る。
2013年12月までは暫定的にB回線のみのデータ通信量に基いて規制が行われているので、端末や設定画面に表示されるA回線込のデータ通信量とは一致しないが、2014年1月以降なら問題ないし、それに2014年1月以降にも困らないように予めA回線込のデータ通信量を把握しておいた方がよいだろう。
5. ファームウェアの更新が本体から直接可能
従来はPCにファームウェアのファイルをダウンロードして、端末をPCに接続してファームウェアを更新する必要があった。GL09Pでは携帯電話と同様に本体に直接ファームウェアをダウンロードしてそのままファームウェアを更新できるようになった。これならPCを持っていなくてもファームウェアを更新できるので、スマホやタブレットしか持っていない人でも問題ない。
6. 今後端末を安価に入手できる可能性
既に買ってしまった人には関係ないが、発売初日からイーモバイルショップで一括15800円のプロモーションがあったりして、豊富な機能をアピールしていながら実勢価格は高くない。人気が出なければさらに投げ売りされる可能性があり、十分に安ければ短所に目をつぶる気にもなるかもしれない。
イーモバイルは伝統的にHuawei製の汎用機にほとんど手を加えずに発売してきたのでさほど大量に発注しなくてもスケールメリットのおかげで安価に調達することができた、しかしGL09Pは完全に日本独自仕様であり、特にチップは独自設計だろうから、ある程度安く調達するためには大量に発注をかけなければならない。既に大量に製造されてしまったということは、その端末はいずれどこかに行き渡るということである。すなわち投げ売りである。安く調達したいならもうしばらく待ってみるとよいかもしれない。
このように長所を列挙してみると、GL09Pがアピールしているマルチネットワークとは全然関係ないものばかりだったりする。GL09Pで初めて実装されたという点では明らかにGL09Pの長所であり、日本独自仕様ということもあって設計でがんばったことが見て取れる。従来のイーモバイルには日本独自仕様で設計する動機が乏しくおそらく知見の蓄積も無かっただろうが、ソフトバンクが仕様策定に関与するようになって、日本市場で求められているものを実装できるようになったのではないだろうか。
マルチネットワークそのものが長所になりえない理由は、ひとえにソフトバンク回線の速度の遅さによるものであり、回線速度を向上するか回線選択のロジックを改善するかしないと長所になりえない。現状では回線選択の優先順位が決め打ちなので、実際には速度の遅い回線が優先的に選択され、速度面ではむしろ改悪される場合が多々ある。回線速度そのものを向上するには多大な投資が必要なので、せめて回線選択のロジックが改善されることを期待したい。幸い、本体から直接ファームウェアの更新をできる仕様なので、回線選択のロジックが改善したら新しいファームウェアを配布すればよい。