もともと運輸業は所有と運行の分離の進んだ業界である。
海運業では船主と運航業者とが分離しているし、航空業でもリースが普及している。船舶にせよ航空機にせよ、資本コストはかかるがどこでも使えるものなので、資金力のある主体が所有し、それを運航業者が調達する仕組みになっている。
実はバスも同様である。たしかに資本コストはさほど高くなくて、夜行バスでも1台4000万円程度である。しかしまとまった台数を保有するとなると億単位の金額になり、バスの事業規模に比べると決して軽い負担ではない。
そういう意味では、貸切バス事業者からバスを調達してサービスを展開する都市間ツアーバス事業者は、ごく当然のことをしているように見える。資本を持たずに身軽に動けるからこそ、顧客のニーズを汲み取って柔軟なサービスを展開できる。夜行バスとホテルの早朝チェックインとを組み合わせるといったサービスは、顧客の求めるサービスをワンストップで提供するものであり、物流業界でのフォワーディングに近い。
乗務員を提供することに特化した会社や、車両整備に特化した会社や、車両の保有に特化した会社があってもよい。ただし、この手のビジネスの常として、生産要素を提供するだけだとリスクが低い反面、あまり利益が出ない。
この手のサービスが出現すると、整備不良や超過労働が問題になるが、それは本来そのようなサービスを提供する側の責任において適正に遂行すべきものであり、ツアーバス事業者に責めを負わせる筋合いのものではない。もちろん、調達側が調達の際の要件として提示したり、受け入れ時にチェックすることは当然必要だろうが、むしろ、個々の生産要素において、安全規制等によって品質が保証されている方が調達しやすい。
都市間ツアーバスも、数年前と比べると様変わりしており、ウィラートラベルのウェブサイトを見ると、随分工夫しているのが見て取れる。従来型のバス事業者の中では最大手の西鉄バスやJRバス関東はよく工夫している方だと思うが、やはり生産要素を供給する側であり、サービス事業者並のきめ細かさを期待できない。
運輸業において所有と運行の分離が機能しにくい唯一の例外は鉄道業である。地上設備の規模が大きく、幅広い技術を組み合わせる必要があり、しかも業務が複雑なため、既存の生産要素を調達するという方式が機能しにくいためである。第3セクターや整備新幹線のような上下分離方式が精一杯である。総合インフラ産業でありながら多種多様なニーズに応えなければならないところに鉄道業の難しさがある。
海運業では船主と運航業者とが分離しているし、航空業でもリースが普及している。船舶にせよ航空機にせよ、資本コストはかかるがどこでも使えるものなので、資金力のある主体が所有し、それを運航業者が調達する仕組みになっている。
実はバスも同様である。たしかに資本コストはさほど高くなくて、夜行バスでも1台4000万円程度である。しかしまとまった台数を保有するとなると億単位の金額になり、バスの事業規模に比べると決して軽い負担ではない。
そういう意味では、貸切バス事業者からバスを調達してサービスを展開する都市間ツアーバス事業者は、ごく当然のことをしているように見える。資本を持たずに身軽に動けるからこそ、顧客のニーズを汲み取って柔軟なサービスを展開できる。夜行バスとホテルの早朝チェックインとを組み合わせるといったサービスは、顧客の求めるサービスをワンストップで提供するものであり、物流業界でのフォワーディングに近い。
乗務員を提供することに特化した会社や、車両整備に特化した会社や、車両の保有に特化した会社があってもよい。ただし、この手のビジネスの常として、生産要素を提供するだけだとリスクが低い反面、あまり利益が出ない。
この手のサービスが出現すると、整備不良や超過労働が問題になるが、それは本来そのようなサービスを提供する側の責任において適正に遂行すべきものであり、ツアーバス事業者に責めを負わせる筋合いのものではない。もちろん、調達側が調達の際の要件として提示したり、受け入れ時にチェックすることは当然必要だろうが、むしろ、個々の生産要素において、安全規制等によって品質が保証されている方が調達しやすい。
都市間ツアーバスも、数年前と比べると様変わりしており、ウィラートラベルのウェブサイトを見ると、随分工夫しているのが見て取れる。従来型のバス事業者の中では最大手の西鉄バスやJRバス関東はよく工夫している方だと思うが、やはり生産要素を供給する側であり、サービス事業者並のきめ細かさを期待できない。
運輸業において所有と運行の分離が機能しにくい唯一の例外は鉄道業である。地上設備の規模が大きく、幅広い技術を組み合わせる必要があり、しかも業務が複雑なため、既存の生産要素を調達するという方式が機能しにくいためである。第3セクターや整備新幹線のような上下分離方式が精一杯である。総合インフラ産業でありながら多種多様なニーズに応えなければならないところに鉄道業の難しさがある。