そろそろM2 Macも出てくるという噂もある中、M1 Macの使い勝手についての情報があれば有益かと思って、M1 MacBook Airを1年以上使い続けての感想を記すことにした。
結論から言えば、動画編集やCADといった高負荷の処理をしない一般人が文房具として使う分にはM1チップでも十分に快適である。メモリは8GBだが、特に不自由ない(16GBモデルはカスタマイズなので納期2週間だったが、8GBモデルは店頭在庫があったのでその場で購入できた)。当初はM1チップ対応のアプリが少なかったが、今ではだいぶ多くのアプリがM1ネイティブになったので実に処理が速い。特にZoom使用時の画質と音質の良さはなかなかのものである。
MacBook Airは発熱を抑えるためにM1チップの本来の能力を封印して低発熱で動作しているがそれでも速い(ヒートシンクをつけるともっと速くなるらしい)。ファンレスなのに本体が熱くならないので膝の上に乗せても快適だし(冬はもっと温かくてもよいのではないかと思うくらいである)、なんと行ってもファンレスで静かなのがありがたい。普通のPCは負荷が高くなると発熱が増えてファンが回ってうるさくて、それが処理のもたつきとして体感されるのだが、余計な発熱がないとそういうものがないので、遅さを感じにくい。もしM2チップを積むことに意味があるとしたら、発熱と電力消費を更に抑制できる場合だろう。
アルミ筐体は軽量化では不利だが、剛性が高いし、ボディ全体が巨大なヒートシンクとして機能しているおかげでファンレス設計が実現している。アルミ筐体の剛性の高さは内蔵スピーカーの音の良さにも貢献している。旅行で持ち出しても携帯用のBluetoothスピーカーの必要を感じない。iPad+BluetoothスピーカーよりもMacBook Air1台の方が総重量が軽いしかさばらない。アルミ筐体で注意が必要なのは傷である。アルミの地肌が柔らかいので鋭利なものに触れるとせっかくのボディに傷がつく(その点、カーボンは頑丈である)。できればケースに入れて運んだ方が安全である。
バッテリー持続時間については今のところは満足している。消費電力が少ないためだろう。PCというのはある意味電気抵抗の塊なので、余計な熱を出さないということは、余計な電力消費がないということでもある。
M1チップのせいかどうかわからないが使い勝手に大きく影響する事項として、一部のUSBデバイスがうまく認識されない。例えばNTFSでフォーマットされたHDD等である。調べてみたところ、市販のソフトウェアを購入すればNTFSでフォーマットされたHDDへの書き込みができるようである。また、FAT32でフォーマットされた大容量のUSBメモリもうまく認識されない。Mac使いには常識かもしれないが、M1 Macの値段と性能に魅力を感じてWindows PCから乗り換えた人は面食らうかもしれない。MacにAndroidスマホをUSBケーブルで接続する場合もそのままでは認識されないが、これはGoogleからダウンロード可能なAndroid File Transferをインストールすると解決する。