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YouTube Musicを試してみた

音楽再生の動画を見ようとしてYouTubeアプリを開いてみたところ、YouTube Musicアプリのダウンロードを勧められた。動画よりも音楽に興味がある場合にはそちらの方が便利だろうと思ってダウンロードして立ち上げてみた。Googleアカウントが既にあれば、それに紐づけるだけで使えるようになる。初期設定時に好みのミュージシャンを選ばせる画面が出てきて、その選択に合わせてプレイリストが自動で生成されるので、最初はそれを試してみた。しばらく再生して、曲ごとに好みの合うものと合わないものとを指定していけばきっとGoogleの優秀なAIが学習してくれるだろうと期待して続けてみた。しばらくすると、最初に指定した好みのミュージシャン以外の曲も再生されるようになってきた。 ここまでは良いのだが、だんだんこのアプリの致命的な欠点がわかってきた。有料のプレミアム会員にならないと音楽プレイヤーとしては使い物にならない。まず、スマホの画面をオフにしたりホーム画面に戻ったりすると音楽再生が停止する。動画閲覧が目的ならその仕様でもよいかもしれないが、音楽再生目的なのにそんな程度のことで音楽再生が停止してしまったら使い物にならない。さらに、曲と曲との間に広告が入るのだが、この広告が音楽の好みの学習結果とは無関係に流れて、しかも音楽よりも大音量で再生される。 有料会員になればバックグランド再生に対応しているし、広告も流れなくなるし、オフライン再生にも対応しているので、これなら音楽プレイヤーとして使えるかもしれない。Androidでの使用で月額980円とのことである。しかしわざわざそんなことをするくらいなら自分の手持ちの音楽ライブラリをGoogle Play Musicアプリで再生すれば済むことである。自分の音楽ライブラリなら自分の好みに合っているし、広告非表示もオフライン再生もごく当たり前にできる。AndroidスマホならmicroSDカードを挿すだけで大容量のストレージを確保できるから、わざわざモバイルデータ通信のパケットを消費してまで音楽をストリーミング再生するまでもない。

レンタカーにスマホナビとBluetoothスピーカーを持ち込んでみた

レンタカーに乗る際には最低限のセットアップをしたらすぐに出発することが求められるため、今回はナビ用のスマホとBluetoothスピーカーを持ち込んでみた。 音楽はスマホに入っているものをそのまま使えるし、ナビに予め目的地を入力しておけば車に乗ってから目的地設定をする必要がなくすぐに使える。ナビから音声が出るときには音楽の音量が自動で下がる。ハンズフリー通話もスマホとBluetoothスピーカーとの組み合わせでできる。 スマホをナビとして使うためにスマホホルダーも持ち込み、エアコンの吹き出し口につけた。スマホ用の電源はダッシュボード下のUSB電源から取り、Bluetoothスピーカー用の電源はアームレストの中の小物入れについているシガーソケットから取った。短時間乗車であればわざわざ電源を取るまでもないのでケーブルの接続に時間をかけることもない。 車の中はうるさいのでBluetoothスピーカーを車に持ち込むなら20Wくらいのパワーのあるタイプが必要。車内のノイズにかき消されないよう、音量は大き目にする。今ではバッテリー内蔵のBluetoothスピーカーでもパワーのあるタイプがいろいろ市販されているのでそういうのを持っていれば問題ない。今回はUE Boom 2をドリンクホルダーに入れて使ったが、ドリンクホルダーに入れると音が籠る。音質を重視するなら助手席に置いた方がよいだろう。

諏訪から高山までのルート

諏訪以東の東京方面から高山へは、松本インターから国道158号を経由し安房トンネルを越えるルートが定番である。高速バスもこのルートである。先日Googleで検索したら、なんと伊那インターから国道361号を経由するルートを案内された。伊那インターから権兵衛トンネルで国道19号に出て、木曽福島から開田高原、御岳山の麓の長峰峠を越え、高根乗鞍湖から川沿いの道を通るルートである。 普段は安房トンネル経由の方が距離が30km短いため所要時間も30分ほど短いが、国道158号の波田から上高地の入口の沢渡にかけての区間は上高地方面の車で混雑するし、梓川沿いの奈川渡ダム付近の区間はダム工事用に建設された道路で狭溢で走りにくい。安房トンネルを4車線化するくらいならむしろ梓川沿いのルートの線形を改良してほしいものである。この区間が渋滞するときには比較的空いている国道361号経由のルートが迂回路になる。 国道361号の岐阜県側はだいぶ改良されてきて大型車も楽に通行できるようになった。開田高原から高根乗鞍湖にかけての九蔵峠と長峰峠を越える区間のうち、九蔵峠は1.5車線の狭い道で対向車とのすれ違いに気を遣う。大型車の通行には適さないが、県道20号を迂回するルートがあり、カーナビではそちらのルートを案内する。長峰峠を越える区間は普通の山道だが、2車線確保されている。全般的に道は空いており、景色も良い。乗用車で観光目的で走る分には快適なルートだと思う。東京を朝に出発すると高山でホテルにチェックインできるくらいの時間に到着するが、途中開田高原付近を昼過ぎに通過するので、このエリアの蕎麦屋で昼食を取ることができる。

ソニーのワイヤレスポータブルスピーカーh.ear go 2(SRS-HG10)を使ってみた

ホテルでワイヤレススピーカーの貸出があったので、部屋用に借りてみた。ソニーの h.ear go 2(SRS-HG10) という製品である。てっきり単なるBluetoothスピーカーかと思いきや、日本企業の製品にありがちな様々な機能がてんこ盛りの製品だった。 大きさは500mlビール缶に収まるくらいの四角い箱である。手に持つとずっしりと重く、仕様を調べてみたら700gとある。大きさ重さともにUE Boom 2と同じくらいである。UE Boom2は型落ちなので値段はUE Boom 2の方が一回り安いが、後継のUE Boom 3と同じくらいの価格である。 バッテリー式で、microUSBの充電用端子がついている。バッテリー持続時間は12時間とあるので、寝ているときに充電すれば、起きているときには自分のいる所に持ち運んで使うことができる。出力は12W+12Wの24Wとのこと。UE Boom 2の10W+10W=20Wよりも一回り大きい。本体の左右に直径35mmのステレオスピーカーがあり、中央の前後にパッシブラジエーターがついている。 説明書がついていなかったので本体を眺めてみると、まず入力モードとしてNetwork、Bluetooth、USB、Audio Inの4種類がある。うちUSBとAudio Inは有線接続で、USBは本体にmicroUSB端子がある。Bluetooth接続は他のBluetoothスピーカーと同様なので、ひとまずBluetooth接続で使ってみた。 ホテルの狭い客室で使うには十分なパワーである。EXTRA BASSのボタンを押すと小さい筐体からは想像がつかないくらいに低音が大きくなる。そのままだとホテルの客室では音が大きすぎるが、低音を増幅すると音量を絞ってもよく聞こえるので、音量を絞るのだったらEXTRA BASSを有効にした方が便利かもしれない。 意地の悪いことを思いついて、同じ音源をUE Boom 2でも鳴らしてみた。音はUE Boom 2の圧勝で、EXTRA BASSを有効にしたSRS-HG10よりも低音が鳴る。UE Boom 2のBluetoothはSBSしか使えないし、出力も劣るが、スピーカー本体の性能の方が効いている。こちらは360°スピーカーなので音が広がるし、防水仕様なのでバスルームでも使えたりする。単なるBl...

microSDを挿せるポータブルスピーカーが欲しい

旅行用にUE Boom 2(後継機は UE Boom 3 )というBluetoothスピーカーを愛用しているが、どうせ普段はスマホの音源をシャッフル再生しているだけなのでわざわざスマホと組み合わせて使うのは面倒である。このスピーカーの中にmicroSDを挿して、そこから直接再生することができればスピーカー単独で使えるので便利だし、Bluetoothを経由しないので音質の劣化も無いのではなかろうか。 microSDはだいぶ大容量で安くなってきた。256GBのが3500円くらいで買えるし、まだ高価だが1TBのmicroSDも市販されているので、大抵の人は手持ちの音源をmicroSDに格納できてしまう。おかげでAndroidスマホにmicroSDを挿すだけで携帯音楽プレイヤーに化ける。しかしそれなら、そのmicroSDをスマホではなくスピーカーに挿してしまえばBluetoothで伝送する必要がなくなる。 スピーカー単独で可能な動作は再生、停止、早送り等限られているので、BoomアプリからBluetoothで操作して音源を選択できるようにすればよいのではないか。スマホをリモコンとしてのみ使うのである。一旦シャッフル再生を選択してしまえば、あとはスピーカー本体をタップして再生や停止をするだけで済む。 Amazonで探してみると安いBluetoothスピーカーの中にはmicroSDを挿せるものもあるようだが、音の悪い安物だと結局使わなくなってしまうので、UE Boom 3やBose SoundLink Miniくらいのクラスで実現するとありがたい。スマホと同様にmicroSD端子を設けて本体に音楽再生用のチップを内蔵するだけなので、技術的にはさほど難しくないはずなのだが、UE Boomのような防水を売りにするスピーカーの場合には防水設計が難しいかもしれない。ゴムパッキンで穴を塞ぐことになるが、防水性能のためには相応の工作精度が求められる。

フィッシュアンドチップスにはなぜモルトビネガーと塩なのか

日本だと白身魚のフライにタルタルソースをつけることが多いようで、モルトビネガーと塩をかけるのはなかなか普及していない。日本でタルタルソースが好まれる理由として考えられるのは、日本人にとって白身魚のフライは味が薄いのと、日本の揚げ物は総じて油切れが良いからではないか。しかし天ぷらにタルタルソースをつけるところなんて見たことが無いし、むしろ天つゆと大根おろしといったさっぱりしたものとの組み合わせが好まれるように見えるし、高級な店なら塩だけをつけて食べる。 唐揚にレモン汁をかけるかどうかは好みの問題だが、油のくどさを緩和させる効果はある。安物の揚げ物は油切れが悪くて、そのままでは食べられたものではない。モルトビネガーもレモン汁のようなもんだが、イギリスの庶民には南方の果物であるレモンなんて気軽に買えないから、地元でとれる大麦を用いた安価なモルトビネガーを使うのだろう。アツアツのにモルトビネガーをかけると酸味成分が揮発して旨み成分だけが残る。大量のモルトビネガーをかけた後で塩を振ると、モルトビネガーの水分に塩が溶け込んで衣になじむ。酢と油といえばまさにドレッシングなのだからうまくないはずがない。

認知能力が衰えても安全な電気自動車のありかた

認知能力が衰えてもさほど周囲に害をなさないガソリンエンジン自動車を思い描くなら排気量360cc時代の昔の軽自動車規格に立ち返ればよいのではないかと思うものの、これから新しく設計するなら電動化時代を見据えたものも考えておいた方がよいだろう。電気自動車はガソリンスタンドに行かなくても自宅で充電できるし、走行距離が短ければ航続距離が問題になることもない。車無しでは暮らせないような地域で最低限の生活の足を確保するなら、ガソリンエンジン自動車よりも電気自動車の方が有利だろう。 しかし電気自動車特有のリスクもある。まず、電気モーターは低回転から大トルクを発揮できるので、セッティング次第では暴走もありうる。ブレーキについても回生ブレーキを使えるので人間の踏力で安全に停止できる速度よりも高い速度での運転が可能である。ガソリンエンジン自動車と同じUIで電気自動車を設計したら、ガソリンエンジン自動車と同じ欠点も引き継ぐことになるので、現在の暴走リスクも引き継ぐことになる。安全な電気自動車を設計するためには電気自動車に最適化されたUIで設計する必要がある。 人間の身体能力の自然な延長線上にある電気自動車として真っ先に思い浮かぶのは、すでに広く導入されている電動アシスト自転車である。これは原付免許不要にするために人間が漕ぐ力と同等レベルでしか電動アシストをしない。さすがに電動アシスト自転車では最低限の移動の足には物足りないので、電動アシストの度合いを大きくした方がよいだろう。しかし電動アシストの考え方自体は残した方がよい。なぜなら、ペダルを漕ぐタイプのアクセルならばブレーキとの踏み間違いが発生しえないからである。また、ペダルを漕ぐには一定の身体能力が必要なので、ペダルを漕ぐ能力が衰えれば必然的に走行速度も低下するのでフェイルセーフである。ハンドルは自転車と同様のもの。ブレーキも自転車と同様の手で握る方式。電力回生ブレーキを実装するにしても握力が衰えれば走行速度を落とさざるを得なくなる。そして何よりも既に普及している自転車と同一のUIなので、自転車を安全に運転できる人なら誰でも安全に運転できる。 自転車と同じハンドルとブレーキを採用するなら、前輪は1輪でなければならない。2輪車と3輪車と4輪車とでは曲がる原理が根本的に異なっている。2輪車は車体を曲線内側に傾けることでタイヤの左右...

もしかして人間の認知能力を考慮したらローテクな車の方が安全なのではないか

自動車はより安全な方向に進化してきた。シートベルトやエアバッグのように衝突時に乗員を守る装備がつけられ、また、後ろや横からの衝撃に対してボディを頑丈に作るようになった。衝撃を吸収するためにクラッシャブルゾーンが設けられ、特に前方は歩行者保護のために壊れやすく作るようになった。ブレーキが利かない場合に備えてABSが設置された。壁の手前でアクセルを踏んでも誤操作を判断して加速しないようになった。車線からの逸脱を警告し、時には自動で車線からの逸脱を阻止することもできる。パーキングセンサーが取り付けられ、ぶつかりそうな場面では警告が発せられる。衝突を避けるための自動ブレーキも装備されるようになっている。 安全装備の歴史と並行して大きくて重い車を快適に運転できる技術も発達してきた。ガソリンエンジンの負圧を利用したブレーキ倍力装置によって、少ない踏力で大きくて重い車を減速させることができるようになった。パワーステアリングによって、大きくて重い車でもハンドルを切って曲がることができるようになった。ATの性能が向上したことで、変速段数が増え、高い速度でもエンジンの効率の良い領域で運転できるようになった。 これらを列挙してみると、正常な判断力を持つがヒューマンエラーの可能性を持つドライバーのヒューマンエラーに対する機械のバックアップが強化され、正常な判断力を持つドライバーが運転する分には随分安全かつ快適になってきたように思える。おかげで、大きくて重い車を高い速度で走らせても致命的な事故が起きにくくなった。 ひるがえって、正常な判断力を持たない人でも大きくて重い車を高い速度で簡単に運転できるようになってしまったおかげで、むしろ危険になったのではないだろうか。正常な判断力を持たない人が凶器を振り回せば人を殺すリスクが高くなる。昔から言われているように車は走る凶器である。時速40kmで走る1tの車に比べて、時速80kmで走る2tの車の運動エネルギーは8倍である。 その一方で、車無しには暮らせない地域もある。高齢者の運転免許更新に際して技能検定を導入するというのは公道の安全を確保する上では理想的だが、ではそれで運転免許を持てなくなってしまった人はどうなるのだろうか。車無しでも暮らせる地域に移住してもらえればよいが、そんなに聞き分けの良い人ならとっくにそうしているだろう。ドライ...

なぜ一人で旅行するのか

個人が何をしようと本人の勝手なはずなのに、世の中には「なぜ一人で旅行するのか」をいちいち詮索する人がいるらしい。そういう場面に備えて回答を用意しておいたので、どんどん撃退してほしい。よく考えれば一人で旅行する理由はきちんと存在するのだが、普段一人で旅行する人はそれがあまりにも当たり前なのでいちいち意識しないのではないだろうか。 平たくいえば、「一人で移動しても問題ないくらいに安全である」「旅行とは旅先でお金を使う行為であり、そこには人との接点があるので別に寂しくはない」の2点である。 1.一人で旅行しても問題ない理由 エベレストに登る際に一人というのは危険だろう。エベレストでなくても、一人で冬山に登るのはそれなりにリスクがある。何かあったときに周りに助けてくれそうな人が誰もいなければ命にかかわる問題である。これは旅行に限った話ではなく、鉄道で乗務員がワンマン運転できるのも相応のバックアップ体制があってのことで、例えば飯田線の秘境区間では何かあったときに備えて車掌が乗務している。仕事で危険な場所(例えばガスが充満している所)に立ち入る場合にも必ず複数で行動する。 そこまで極端な状況でなくても、言葉や交通法規や切符の買い方のわからない国で一人で移動するのはリスクなので、そういう状況に対応できる人は限られているだろう。しかし日本人が日本の公共交通機関を利用したり日本の公道を走行したりする際には、助けを求められる人が必要というほど危険ではない。 宿泊の際にも、日本の大手のビジネスホテルチェーンで泊まる程度だったら犯罪の被害にあうことを想定した対策は必要ないし、寝ているときに野生動物に襲われるおそれもない。昔の旅館では一人客が断れれる場面もあったようだが、ビジネスホテルではシングルルーム主体なので一人で宿泊しても問題ない。 一人で車で移動する場合には、一人だと自分で運転し続けなければならないので、複数人で運転を交代する場合に比べて不利ではあるが、米国ならまだしも日本は車移動でそんな長い距離を移動する必要に迫られるほど国土は広くない。高速道路網の発達した欧州では、一人で1日に往復で1000km走るくらいはざらだが、日本では個人が車で1日に600km以上移動する場面なんてそんなに無いのではないか。きちんと休憩を取りながらなら一人でも運転できるので、予め時間...

子世代所得連動型社会保険

少子高齢化が進むと高齢者を支えるための現役世代の負担が増大すると言われている。たしかに困窮する人に死ねとは言えないので誰かが支えてあげるに越したことはないが、その一方で、支える側が困窮して日々の生活もままならなくなるのもおかしい。また、高齢者を支えるための原資は現役世代の稼ぎだが、現役世代が生きていけなくなってしまっては元も子もない。所得再分配には利害の対立が伴うが、そういうときにはバランスが大切である。となると、社会保険(主に公的年金と医療保険)の現役世代の負担比率に対して一定の上限を設ける必要があるのではないか。 そこで、社会保険の支給額の原資を世代別(コホート別)に区切って、親世代の社会保険の支給額を子世代の総所得の一定割合とするのはどうだろうか。親子間の年齢差をいくつに設定するかについては議論の余地があるが、人口統計上は30歳くらいである。すなわち、60歳での社会保険支給額の原資は30歳の総所得に一定の係数を乗じたもの、70歳での社会保険支給額の原資は40歳の総所得に一定の係数を乗じたもの、90歳での社会保険支給額の原資は60歳の総所得に一定の係数を乗じたもの等である。各世代ごとの係数に関しては、需給をマッチさせるためにある程度調整が必要かもしれない。 まず一つ目の理由だが、30年の年齢差を設けると社会保険の需要と負担能力とが意外とマッチする。30歳の所得はまださほど多くないが、60歳くらいであればまだ働ける人が多い。40歳になると多少は所得が増えてくるし、さすがに70歳で働くのはつらいので社会保険に頼りたい。80歳になれば医療費もかかってくるが、その頃には50歳の所得も増えているだろう。60歳の所得は減少するし、むしろもらう側に転じる時期だろうが、90歳で生きている人はほとんどいないので問題ない。 社会保険支給額の原資を子世代の所得と連動させるもう一つの理由は、親世代が子世代の所得増大に責任を取ってほしいからである。親世代は子世代の教育に責任を負っているのだから、子世代が稼げるように教育投資してほしい。また、50歳60歳で逃げ切るために20代30代の若者の所得を犠牲にして稼ぐ力を損なえば、将来自分がもらえる社会保険の額に跳ね返ってくるようにすることで、若者からの収奪に対する抑止力としたい。 少子高齢化が進むと高齢者の政治的影響力が強くなり、...

真の成果主義と偽の成果主義

日本では西暦2000年頃から2010年頃にかけて大企業を中心に「成果主義賃金」というものが普及していった。ではその結果労働生産性が向上したかというと、データの上では労働生産性向上は僅かだし、マクロデータでもバブル崩壊以降の成長率の低下は全要素生産性の低下で説明できてしまう。現場の感覚レベルではそれ以前から「成果主義」が成果に寄与していないのではないかという疑問があった。従業員意識調査においても「成果主義」が働きがいに関する指標を悪化させるということが知られていた。成果を志向するはずの人事制度がなぜ成果に貢献しないのだろうか。 日本企業で導入された「成果主義」の中核をなすのは期初の目標設定と期末の評価である。期初に様々な項目から成る目標を従業員が設定し、直属の上司との面談によって承認を得る。期末になると設定された目標の達成度を従業員が自己評価し、それをもとに直属の上司が面談の上で成果を決定する。成果を評価するためには目標が定量化されていなければならないので、目標設定は、KPIという名目で無理やり定量化された目標をでっちあげることから始まる。 この手法はもともと米国企業のホワイトカラー労働者向けのものである。米国企業のホワイトカラー労働者の特色は、1)業務や成果測定が契約ベースであり、詳細な労働契約が定められていることと(契約書は500ページくらいで、弁護士のレビューが必要)、2)採用や評価に関する全権を直属の上司が有しており、上司が自己の成果を出すために人件費をかけて部下を雇用していることの2点である。 ひるがえって日本企業では1)労働契約が存在せず、労働者のプールに対して会社が一方的にルールを決めて個々の従業員に業務を命じたり役職や給与等級を決定したりする、2)採用は人事部による一括採用で、直属の上司は人事に関する裁量を有さない、という根本的な違いがある。制度設計においては、細部の微妙な違いが全く異なる結果をもたらすが、前提条件が根本的に異なれば結果が全く異なるのは火を見るよりも明らかである。にも関わらずそのようなことに誰も疑問を抱かないのは、日本の大企業のサラリーマンが外の世界を知らないからである。 日本企業の新卒一括採用が悪いというわけではなく、うまく機能すれば米国のような極端な学歴主義(ひいては機会の不平等)や欧州のような若年失業を回避できる。...

それでも右ハンドル車のペダルレイアウトには問題がある

高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違いに起因する暴走事故がたまに発生している。時には人の命を奪う事故まで発生している。 本人はブレーキを踏んでいるはずなのにアクセルを踏んでしまうのは、本来ブレーキペダルがあるべき位置にアクセルペダルがあるからである。右ハンドルの日本で2ペダル車に慣れ親しんでいると当たり前すぎて気が付きにくいが、タイヤハウスの出っ張りを避けるために、アクセルペダルとブレーキペダルが左にずれている。この傾向はスペースに余裕のない小型車に顕著である。輸入車だと右ハンドルでの設計がろくに考慮されていないのでさらにひどい。 もちろん、慣れてしまえば気にならない。しかし、この慣れてしまえば気にならないというのが実は曲者である。健常者にとっては問題ないが、体の機能は徐々に衰えてきて、足首が思ったように動かなくなってくる。足首を左にひねってブレーキペダルを踏むつもりなのに、実際には十分に足首をひねることができずにアクセルペダルを踏んでしまう。本人が足首の動きの衰えを自覚していればもっと慎重な操作を期するのだろうが、自覚症状が無ければブレーキを強く踏むつもりで結果的にアクセルを強く踏んでしまう。年を取ると反射神経も衰えるので、誤操作に気づいてもすぐには修正できない。 誤操作のリスクをゼロにすることはできないが、足首を左にひねればブレーキ、右にひねればアクセルとなればブレーキを踏むべきときにアクセルを踏むリスクはだいぶ低減される。一方、アクセルペダルもブレーキペダルも左に寄っていると、「どの程度左に足首をひねるか」の違いでしかなく、足首をひねる量を定量的に正しく評価できないと誤操作することになる。しかも国産車の大半はアクセルペダルもブレーキペダルも吊り下げ式である。 もちろん、アクセルペダルとブレーキペダルが左に寄っているなら、右足も同じように左に寄せて、ブレーキペダル側にかかとを置けば解決する。しかし繰り返すがそれは健常者の論理であって、足首の動きもおぼつかない高齢者が無理やり右足を左に寄せ続ける姿勢を長時間安定して維持できると期待してよいのだろうか。 右ハンドル車でペダルが左に寄っていないのはマツダだけだが、「人を殺したくなかったらマツダに乗れ」というのではなく、他社も同様にすべきではないだろうか。他社が採用しないのは、前輪を前に出せばその...

Newdaysのコーヒー

コンビニのコーヒーはすっかりおなじみになったが、JR東日本の駅の売店であるNewdaysでもコーヒーが売っていることをつい最近まで知らなかった。調べてみたら2014年からあったようである。 2019年4月1日現在の取扱店舗一覧 によると、地方では主に特急停車駅が対象だが(というか主要駅以外は無人駅ばかりだし)、首都圏では通勤電車しか停車しない駅でも扱っている。買ったコーヒーをどこで飲むことが想定されているのだろう。また、同じくJR東日本グループのベックスコーヒーショップとどう棲み分けているのかも気になるところである。店内で飲食するならベックスコーヒーショップしか選択肢がない反面、持ち帰りならNewdaysのコーヒーでも十分に見える。 新幹線の乗車待ちの時間にNewdaysでコーヒーマシンを見かけたので、早速購入してみた。紙コップを買うところまでは普通のコンビニと同じなのだが、駅の売店はスペースが狭いため、コーヒーマシン周辺のスペースが狭く、砂糖やクリームを入れるのに難儀する。しかも長距離列車への乗車前には比較的荷物が多いのでなおさらである。 車内でコーヒーを飲むべく持ち込もうとすると、荷物を持ちながらさらに片手でコーヒーカップを持ってホームまで移動することになる。いくら蓋がついているといっても、水平を保たなければこぼれてしまう。できることなら、乗車して席についてから改めてホーム上のNewdaysでコーヒーを買って持ち込めれば便利なのだが、始発の特急列車でなければそんな悠長なことはできないし、東京駅折り返しの新幹線だと発車4分前くらいにならないとドアが開かないので、荷物を置いて着席したらすぐに発車してしまう。駅で買って車内に持ち込むというのは口で言うほど簡単なことではない。 これが車移動なら荷物を置いたまま身軽な状態で買物できるので、両手が塞がることがないし、座って休憩する場所がなければ車の中で飲み物を飲むこともできる。 列車に持ち込むとなると密閉できるペットボトルや缶の方が圧倒的に取り扱いが楽である。車内で温かいコーヒーを飲みたかったらやはり車内販売の方が楽なのだが、残念ながら2019年3月16日から車内販売が大幅に縮小されてしまった。車内販売の残る列車でも飲み物くらいしか購入できない。 コーヒーの味そのものはまともで、ドトールと共同開発している...

もしかして大糸線糸魚川南小谷間はえちごトキめき鉄道に移管した方がよかったりしないだろうか

大糸線の南小谷糸魚川間はJR西日本の孤立区間である。キハ120が2両糸魚川に常駐して、単行運用を2運用まかなっている。かつてはシュプール号の客車列車が関西方面から大糸線経由で白馬に乗り入れていたこともあったが、北陸新幹線が開業して北陸本線の金沢直江津間が経営分離されてからはJR西日本の車両が大糸線に直通することもない。 一方、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインは直江津から泊までキハ122を8両保有して直江津泊間で単行で運行している。これに加えて観光車両の雪月花の2両編成があり、これは気動車なので非電化区間にも乗り入れることができる。糸魚川駅の在来線部分を管理しているのもえちごトキめき鉄道で、JR西日本が間借りしている形になっている。 このままJRに任せていても最低限のことしかしないので、それくらいならいっそのことえちごトキめき鉄道に移管した方がよいのではないだろうか。えちごトキめき鉄道はすでにこのエリアで気動車を運行しているし、大糸線を引き取っても単行2運用が増えるに過ぎない。たった2運用のためにJR西日本の従業員を常駐させるよりも、日本海ひすいラインと一体で運用した方が運用効率が良い。それに、えちごトキめき鉄道は観光車両の雪月花を各地に貸し出しており、北越急行に乗り入れたりしなの鉄道の上田まで乗り入れたりしているし、大糸線にも乗り入れている。スキーシーズンには北陸新幹線に接続して白馬まで乗り入れてもよいのではないか。えちごトキめき鉄道の方がこの地域の鉄道を便利にするために努力しているように見える。 えちごトキめき鉄道に移管した方がよいのではないかと思うもう一つの理由は沿線の治山治水である。大糸線の糸魚川南小谷間は姫川に並行しているが、姫川は悪名高い暴れ川で、大糸線も何度も被災して不通になった。並行する国道148号も強固なスノーシェッドによって守られている。既存の設備で運行するだけならさほど経費がかからないが、被災するたびに莫大な復旧費用をかけている。JRだからまだ復旧できているものの、地方私鉄だったら1度の被災で廃止になっていていもおかしくない。しかし、JR東海が名松線復旧の際に主張していたように、沿線の治山治水は本来は県の責任である。糸魚川南小谷間の鉄道を維持する上で最大の障害は水害なので、治山治水に責任を持つ新潟県が主導で鉄道を維持すべきではない...

トラックポイントキーボードを購入

仕事用のPCが導入されて3年近く経過する。次期PCではThinkPad以外の機種が導入される可能性があることから、せめてキーボードくらいはまともなものを使いたいと思って、トラックポイントキーボードを発注した。このトラックポイントキーボードは他社ノートPCだろうとデスクトップPCだろうがキーボードだけはTninkPadに化ける優れものである。 トラックポイントキーボードには日本語版と英語版とがあり、さらにUSB接続の有線キーボードとBluetoothキーボードとの2種類がある。Bluetooth接続だと内蔵バッテリーに定期的に充電する必要があり、その際にはUSB接続で充電することになる。それなら別に最初からUSB接続であってもさほど変わらない。また、Bluetoothキーボードだと僅かながら伝送遅延が気になる。 第一印象はまず12インチクラスの小ささで、パームレストも無いからかなり小さい。それでも膝の上に置いて打鍵するには支障しないサイズである。ケーブルはmicroUSBでキーボードに接続するタイプで、汎用のケーブルを使えるのは便利である。また、持ち運ぶ際にはケーブルを抜いて束ねることができるので、キーボードから生えたケーブルが折れ曲がって断線するリスクが低い。ケーブルを接続すると端子付近の緑のランプがつくが、ケーブルはキーボードの前側についており、キーボード操作中にはランプが点灯しているのが見えない。このランプがどのように役に立っているのかよくわからない。 試しにThinkPad X1 Carbonに接続するとすぐに認識された。キーの配列はThinkPadで標準的なものなので、ThinkPadに慣れ親しんでいれば使いやすい。いまどきのキーボードなのでアイソレーションキーボードだが、キーストロークは思いのほか深めということもあって、打鍵感は良好である。少なくともThinkPad X1 Carbonの2014年モデルよりもはるかにまともである。 トラックポイントの操作感も良好で、特に調整しなくても軽やかに動く。中ボタンの操作は古い機種とは違っていて、中ボタンを押してから指を離すと一定速度でスクロールするモードもあり、長い文章を読むときには便利かもしれない。 キーボードの足は左右方向に起こすタイプである。古いトラックポイントキーボードだと、前後方向...

大型トラックを新東名から東名に誘導せよ

時速90kmでリミッターのかかる大型トラックがわざわざ新東名を走る意味がよくわからない。トラック同士の追越で追越車線を塞ぐ理由はさらにわからない。トラックドライバーの立場に立って考えれば、新東名経由の方が距離が少し短いし、それに何よりも高低差が少ない分だけ速度が低下しにくいし燃費も良い。線形が良いだけでなく、土木構築物のサイズが一回り大きいのも大型トラックにとって走りやすいのだろう。しかし高規格道路の本来の目的は高い速度でも安全に走行できるようにすることであり、別に大型トラックに便宜を図るためではない。 大型トラックが新東名を経由するのが経済的な動機なら、東名を経由する経済的動機を与えればよい。今後新東名の最高速度を順次120km/hに引き上げるなら、新東名での交通安全のためにもなおさら必要である。新東名と東名とが並行する区間で東名経由の特大車の料金を割り引けばよい。特大車の通行料金はかなり高いので、これを割り引けば東名経由になびく。例えば御殿場から豊田南まで、現状では新東名経由であっても東名経由であっても深夜以外の料金は13800円だが、もし東名経由の料金が10000円にまで下がれば意思決定に影響するだろう。ちなみに同区間の深夜割引料金は9660円である。 御殿場清水間、清水三ケ日間、三ケ日豊田間のそれぞれ、および清水と三ケ日の連絡路のそれぞれにETCゲートを設置すればどちらを経由しているか判別できるので、それに基づいて通行料金を計算できる。新東名の流れが円滑になることによる経済効果を通行料金値引きの原資とすればよい。 あるいは、新東名の全区間にわたって、アウトバーンのように大型トラックは第一通行帯しか通行できないように規制すれば、少しでも遅いトラックがいれば後続のトラックは追い越せないので、所要時間はむしろ伸びることになる。これも東名経由に誘導する上で効果的だが、それはあくまでもそのような規制が効果を持つ場合の話に過ぎず、現状では警察は大型貨物の通行帯違反を取り締まらないので、効果を期待できない。規制よりも自発的な意思決定に委ねる方が効果を期待できる。

スマホで購入できる乗車券がほしい

中国で一気に普及したスマホ決済を鉄道の乗車券に応用できないものだろうか。 スマホを操作して乗車券を購入し、スマホの画面でQRコードを表示し、それをバーコードリーダー付の自動改札機にかざすことで改札を通るようなシステムならさほど手を加えずに作れたりしないだろうか。現に、航空券はeチケットを2次元バーコードで表示することで搭乗ゲートを通過できるようになっている。バーコードリーダー付の自動改札機なんて既に空港の搭乗ゲートにいくらでもあり、乗客はバーコードをかざす操作に習熟している。高速バスでも予約・購入情報をスマホで表示させることで乗車できる方式が広まっている。 JRのローカル線のワンマン運転では未だに現金を収受している。JRだったらSuica等のICカードで運賃を支払えれば便利だし、現に大手のバス会社ではとっくに導入されているにも関わらず、交通系電子マネーの元祖たるJRでは未だに電子マネー決済できない。これはICカードリーダーが高価だからだろうが、バーコードリーダーなら安価なのでワンマン運転の運賃箱に容易に取り付けられるのではないか。検札の際にも、車掌がバーコードリーダーでスキャンすれば乗車券情報が表示されるのだったら簡単である。乗車券情報を見るだけなら高速バスでやっているように画面上に言葉で表示させれば十分である。 バーコードで乗車券情報を読み込んでしまえば、そこから先の認証は磁気化券と同じなので、ソフトウェアにはあまり手を加えずに済む。現に沖縄のゆいレールは磁気化券を廃止してQRコードを印字した乗車券に切り替えた。処理速度はSuicaに及ばないかもしれないが、一部の混雑路線を除けばさほど速い処理は必要ないし、世界的にはロンドンのOysterくらいの処理速度が標準である。 その後調べてみたところ、QRコード決済については、 2018年11月5日「駅から切符がなくなる日、カギ握るQRコード決済の強みとは」(枝久保達也) がよくまとまっている。

Lenovo 65W USB Type-C トラベル DCアダプターを購入

かねてから車のDC電源でPCに充電したいと思っていたのだが、ThinkPadの電源端子はスリムチップ(角型)からUSB Type-Cへの過渡期になるため、スリムチップ用の製品を購入してもすぐに陳腐化してしまう。そのため、新機種に乗り換える際にUSB Type-C対応の製品を購入するつもりでいた。 しかしLenovo USB Type-C ノートブックパワーバンクを購入したところ、USB Type-Cからスリムチップへの変換アダプタが付属していたため、USB Type-C用のDCアダプタにこの変換アダプタをつければスリムチップ仕様のPCにも使えることがわかった。そのため、周辺機器が安いときにUSB Type-C用のDCアダプタを発注した。 主な用途は車での移動中にPCに充電することだが、旧来の5VのUSB規格に縛られないため、大容量のモバイルバッテリーに短時間で充電することもできるし、もちろんスマホに充電することもできる。停電した際に車に燃料が残っていれば車のエンジンを回すことでPCを使い続けることができるので、停電対策にもなる(インバータを通してからACアダプターを通すのは無駄)。 いざ届いてみると、実物は結構小さくて軽い。コンデンサやトランスから成るACアダプターと異なりDDコンバータ(スイッチング素子)+制御用チップなので、原理的に小さいのは当然なのだが、実物を見るとやはり小さい。それでいてケーブルは2m近くあるので、車の中で取り回すには十分な長さである。あと気になるのは夏の車内での耐熱性だが、用途は明らかに車載用であるにも関わらず、見た目はACアダプターと似たような感じであまり車載用には見えないので、これは使ってみないとわからない。もしかしたら夏は車の中に置きっぱなしにしない方がよいのかもしれない。

いまどき退職金に意味があるのか

昔は退職金というとまとまったお金がもらえるイメージだったが、いまどき退職金に意味があるのだろうか。 退職金は労働基準法での義務ではないが、だいたい年収の2%くらいを毎年積み立てて運用して退職時に渡すのが慣例である。資産運用は複利で増えるし、経済が右肩上がりに成長していた時代には昇給もあったから、これが40年分積み重なると相当な額になる。昭和末期の退職金は退職時の年収の数倍くらいだろうか。さらに大企業の場合は厚生年金に上乗せする年金基金もあり、老後の収入に多大な影響を及ぼしているが、これも実質的には給与の後払いである。 一方、金利ゼロで経済成長率ゼロで、当然昇給もなしとなると、単に給与の2%を40年分積み立てるだけである。0.02*40*(1.00^40)=0.8となり、40年勤めあげても年収の8割でしかない。勤続5年で退職すれば年収の1割でしかない。そんな程度の退職金をありがたがるくらいだったら、わざわざ後払いされるよりも、毎年もらいたい。 財務会計上は純粋に給与の後払いでしかなく、給与の一定割合を退職給付費用として計上し、同額を退職給付引当金という負債として計上する。既に費用は発生しているのだが、従業員に支払わずに企業の財布に入れたままにするのである。 ではなぜ従業員に支払うべき給与の一部を後払いにするかといえば、退職金を人質に取って従業員が悪さをしないようにするためである。不祥事を起こしたら退職金を召し上げるようにすれば定年退職まで悪さをしないだろうと期待してのことである。たしかに勤続40年で定年退職間近になると退職金を失うようなことはしたくないので、リスクを取らずに大過なく過ごしたいだろう。 しかし退職金は給与の後払いに過ぎないので、勤続年数が短ければ大した額ではない。数年おきに転職するなら退職金のために我慢する必要はさほどない。内部留保のように再投資の原資にするとしても、年間人件費の2%では量的なインパクトが無いし、そもそも成長しない時代には再投資してもリターンが得られないのだから従業員からお金を借りるまでもない。 しいて言えば退職金は所得税法上一定額の控除が認められていて優遇されているから節税になるくらいである。年金基金についても、社会保険控除が適用されるし、年金としてもらう時期には元の所得が低いから、これも所得税の節約になる。しか...

動物園はサファリパーク

子供の頃は動物園に行くと動物が狭い檻に閉じ込められているのを見るにたえなかった。その後、それは人間の勝手な思い込みであることを知った。 野生動物にとって、動物園は若干不自由ではあるものの安全かつ食べ物の心配のいらない空間である。安全であるというのは他の動物に襲われるおそれがないというだけでなく、人間から危害を加えられるおそれがないということである。檻は動物を閉じ込めるだけでなく、人間から動物を守っている。人間の住む場所の近くに住んでいれば生活環境を破壊されるおそれがあるし、あるいは人間に接近すれば武器で襲われたり罠で捕えられて殺されるおそれがある。動物が至近距離で人間を安全に観察できる場所を動物園の他に思いつかない。それはさながらサファリパークにおいて人間が檻のついたバスで移動しながら猛獣を観察するようなものである。 動物にとって人間は奇妙な生き物である。無知なために自然環境を破壊するし、お金のような実体の無い幻を追い求めてたりするし、人間同士で殺し合ったりもする。自然界において通常ならばありえないような現象に満ちている。人間は自らそのことにあまり気づいていないが、動物は人間でないから人間の奇妙な点がよく見える。それでいて人間はなぜか動物を見下していて、自分たちよりも知性が劣っていると思い込んでいる。愚かな者ほど他者は自分よりももっと愚かだと思って見下す傾向がある。

Lenovo USB Type-C ノートブックパワーバンクを購入

5年近く使ってきたThinkPad X1 Carbonのバッテリーの劣化が進んできて、バッテリー駆動だと2時間くらいしか持たなくなった。かといって2019年版のX1 Carbonが発売されるまではもうしばらくかかりそうだし、バッテリー以外ではまださほど不満がないので、当座の延命策としてモバイルバッテリーを購入することにした。 最近はモバイルバッテリーはピンからキリまでいろいろな製品があるが、ノートPCに給電できるのはUSB PD対応の製品のみで、値段が張る。それでも安物のバッテリーは充放電制御がいい加減ですぐに劣化したり壊れたりするので、少々値が張ってもきちんとしたものを使いたい。そこでLenovo純正のモバイルバッテリーを購入した。ノートPCのACアダプターから充電し、USB Type-C経由でノートPCに給電できる。それだけでなく、バッテリーへの充電とPCへの給電を同時にできる仕様である。DC電源からPCにバイパスしているのだろうか。安物バッテリーはこれができないので、充電しながら給電するとすぐに壊れる。 これはその名の通りUSB Type-Cでの動作を想定したものだが、四角い電源コネクタ(スリムチップ)への変換アダプタが付属しているので、1世代前のThinkPadでも使える。もちろん新機種を購入すればそのままUSB Type-Cで使える。USBの口が2つついているので、スマホへの給電も同時にできる。そのため、これ1台を携帯するだけで足りるし、スマホへの給電用として使うならかなりの大容量である。 中国通販なので発注から到着まで2週間以上かかったが、無事に到着した。本体の大きさは昔のエネループモバイルブースターの2倍くらいの大きさで、充電容量もエネループモバイルブースターの2倍強と控えめなスペック。それでもThinkPad X1 Carbonの新品時の満充電容量は確保されているので、内蔵バッテリーと併せて5時間くらいは連続で使えるのではないか。これで外出先で電源を取れなくても安心である。

通過連絡運輸を2区間以上含むルートの例

マルスの仕様上、通過連絡の受け口となるJRの駅は3駅までとなっており、そうなると通過連絡運輸を2区間以上含むルートでは発券できないことになる。しかし、第3セクター経由の特急を利用するルートを通れば、通過連絡運輸を2区間以上含むことはマルスから排除できるような特異な例ではない。 1.鳥取から松阪 JR利用の場合の最短ルートは智頭急行経由のスーパーはくと、新幹線、伊勢鉄道経由の南紀を乗り継ぐルートである。このルートで発券できないとしたらマルスの仕様に問題があるのではないか。面倒なことを避けたければ難波から近鉄特急を利用すれば済むことだし、鳥取から大阪までも高速バスの方が安いが、そうなるとみすみす乗客を逃すことになる。名古屋経由であっても松阪まで近鉄特急を利用すれば済む。 2.松阪から柏崎 名古屋まで伊勢鉄道経由の南紀、長野までしなの、直江津までしなの鉄道とえちごトキめき鉄道、直江津からJR。 3.越後湯沢から篠ノ井 六日町から犀潟までほくほく線、直江津から長野までえちごトキめき鉄道としなの鉄道、長野からJR。十日町から豊野まで飯山線を利用する場合であっても通過連絡運輸区間が2区間になる。 4.大船渡から八戸 今は存在しないルートだが、かつては大船渡から盛まで、釜石から宮古まで、久慈から八戸までがJRで、盛から釜石までと宮古から久慈までとが三陸鉄道だった。 5.高崎から上越線ほくほく線経由で加賀温泉 六日町犀潟間が北越急行で1区間、直江津金沢間がえちごときめき鉄道、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道の3社で1区間、計2区間である。いまどき敢えて在来線に乗るのは物好きだろうが、在来線経由なら最短経路である。 6.高崎から信越線経由で戸狩野沢温泉 篠ノ井長野間がJR信越本線なので、第三セクター区間が軽井沢篠ノ井間と長野豊野間とに分断され、通過連絡運輸区間が2区間になる。 しかし、これらのルートで検索するとヒットするのはJR利用のルートよりもむしろ高速バス利用のルートばかりだったりする。JRが切符を発券しないなら他の交通手段を利用する選択肢が豊富に用意されている。マルスの仕様が改善されないうちに鉄道が取り残されている感がある。

鉄道にもETCのようなシステムが欲しい

鉄道が面倒なのは事前に切符を購入することが求められることにある。最近はSuicaのようなICカードが普及したおかげで改札口でICカードをタッチするだけで乗れるようになったが、ICカードは単一エリア内でしか利用できないので長距離乗車の際には依然として乗車券が必要である。また、ICカードを利用するにしてもあくまでも片道乗車券の経路でしか利用できないので、改札口を出ずに重複乗車することは想定されていない。 単純な経路なら普通に乗車券を購入しても問題ないが、単純移動から少しでも外れると様々なルールの縛りがあって、乗車券を発券できそうで発券できないものが出てくる。たとえ発券できるとしてもえきねっとや指定席券売機では発券できないので窓口で購入する必要が出てくる。切符を買うだけのためにお互い時間と労力がかかる。車ならそんな面倒なことをしなくても好きなように移動できるし、高速道路を通行する際にもETCで料金をまとめて後払いできるのに、鉄道に乗るとなると旧ソ連のようなややこしい手続が発生する。鉄道のシステムはいまどき時代遅れなのではないかとすら思えてくる。 要は乗った分だけ運賃を収受できればよいのだから、乗った経路をモニターしてそれに応じて課金する仕組みにできないものだろうか。ETCのように通行経路を毎月集計してまとめて料金を請求する方式だと便利である。乗降が自動で記録されるなら無人駅でも問題ないし、きちんとモニターできれば運賃を取り損ねることもない。事前に切符を購入したり発券したりする必要がなければ乗客にとっても鉄道会社にとっても負担が軽減される。 とはいえ、どうやって実現すればよいか考えると大変である。路線の各所にETCゲートのようなものを設けるとしたらSuicaよりもはるかに処理能力の高いゲートが必要になるだろう。1000人くらいの乗客のいる列車が瞬時に通過してもすべての乗客の通過を正確に記録するというだけでもかなり大変である。駅のホームや乗り換え通路上にETCチェックポイントを作るとしても、漏れなく把握するためには同一駅で複数箇所にチェックポイントを設ける必要があろうが、そうなると今度は同一駅で重複してカウントされないようにする仕組みも必要である。同一ホーム乗り換えの場合はどうするかとか、直通列車の場合はどうするか、折り返し乗車の場合にはどうするかといったことも考...